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冷温水配管の設計入門|2管式・4管式の選定・配管径・材質・保温・ルート計画の実務ポイント

冷温水配管の設計入門を徹底解説。2管式・4管式の選定基準とメリット・デメリット、冷水・温水の設計温度、配管径の決定方法(流量計算・許容流速・圧力損失)、配管材質(SGP・SUS・VLGP)の比較、保温・断熱・結露防止の設計、配管ルート計画(シャフト・天井内納まり・梁貫通・膨張収縮・エア抜き・バランス弁)まで、建築設備設計の実務ポイントを網羅的に紹介します。

冷温水配管の設計入門|2管式・4管式の選定・配管径・材質・保温・ルート計画の実務ポイント
hvac
公開日
2026年4月13日
更新日
2026年4月14日

冷温水配管とは?セントラル空調における役割

セントラル空調方式では、機械室の熱源機器(冷凍機・ボイラー等)で製造した冷水または温水を、配管を通じて各階の空調機(AHU・FCU)に搬送します。この冷水・温水を搬送する配管を冷温水配管と呼びます。

冷温水配管の設計は、空調能力・エネルギー効率・施工性・コストに大きく影響します。本記事では、2管式・4管式の選定基準、配管径の決定方法、配管材質・保温のポイント、そして配管ルート計画の実務までを解説します。

2管式と4管式の違いと選定基準

冷温水配管方式は大きく2管式と4管式に分かれます。建物の用途と運転形態に応じて適切に選定することが、快適性と経済性の両立のカギとなります。

2管式(往き・戻りの2本)

2管式は、往きと戻りの2本の配管で、季節によって冷水または温水を切り替えて搬送する方式です。

  • メリット:配管コストとスペースが少なく済む。配管シャフトの面積も小さくできる
  • デメリット:同一系統で冷房と暖房を同時に行うことができない。中間期の冷暖切替時期に不快なゾーンが発生しやすい
  • 適用:学校・工場など、冷暖同時運転の必要が少ない建物。コスト重視のプロジェクト

4管式(冷水往き・戻り+温水往き・戻りの4本)

4管式は、冷水と温水をそれぞれ別の配管で搬送し、4本の配管を使用する方式です。

  • メリット:各ゾーンで冷房と暖房を同時に行える。中間期の快適性が高く、細かな温度制御が可能
  • デメリット:配管コストとスペースが2管式の約1.5〜2倍に増大する。配管シャフトの面積も大きくなる
  • 適用:大規模オフィスビル・病院・ホテルなど、各ゾーンで冷暖同時運転が必要な建物

選定の判断基準

2管式・4管式の選定は、以下の観点から判断します。

  • 冷暖同時運転の必要性:インテリアゾーンが年間を通じて冷房需要がある建物では4管式が必須
  • 配管シャフトのスペース:4管式は配管本数が倍増するため、十分なシャフトスペースを確保できるか確認する
  • イニシャルコスト:4管式は配管・保温・支持金物のコストが大きくなるため、予算とのバランスを検討する
  • 将来の用途変更:用途変更の可能性がある建物では、4管式としておくことで柔軟性を確保できる

冷温水の設計温度

冷温水配管の設計では、まず冷水・温水の設計温度を設定します。一般的な設計温度の目安は以下のとおりです。

  • 冷水往き:7℃(標準)。空調機の除湿能力確保のため、一般的には7℃が採用される
  • 冷水戻り:12℃(標準、温度差ΔT=5℃)。省エネ設計では大温度差送水(ΔT=7〜10℃)とし、ポンプ流量を削減するケースもある
  • 温水往き:45〜50℃(FCU用)または60〜80℃(AHU用・ボイラー送水)
  • 温水戻り:往き温度から10〜20℃低い温度(熱源機器の種類による)

設計温度差(ΔT)は配管径とポンプ動力に直結するため、省エネ計算との整合も含めて慷重に設定する必要があります。

配管径の決定方法

冷温水配管の管径は、必要流量と許容流速から決定します。基本的な算定の流れは以下のとおりです。

流量の算定

冷温水の流量は、空調負荷と冷温水の温度差から算出します。計算式は以下のとおりです。

流量(L/min)= 空調負荷(kW)× 60 / {4.186 × 温度差(℃)}

例えば、空調負荆50kW、温度差5℃の場合、流量は約143L/minとなります。

許容流速の基準

算出した流量を許容流速以下に収める管径を選定します。一般的な許容流速の目安は以下のとおりです。

  • 主管(機械室内・立管):1.5〜3.0m/s
  • 枝管(各階横引き管):1.0〜2.0m/s
  • FCU接続配管:0.5〜1.5m/s

流速が高すぎると配管騒音や流体振動の原因になり、低すぎると配管径が過大になりコストが増大します。

圧力損失の検証

管径を決定したら、配管の圧力損失を算出し、ポンプの揚程でカバーできるかを確認します。圧力損失は以下の要素から構成されます。

  • 直管部の摩擦損失:配管の長さ・管径・流速から算出。目安として300〜400Pa/m以下が望ましい
  • 局部損失:エルボ・ティー・弁類などの継手部分での損失。直管換算長さで算定するのが一般的
  • 機器の圧力損失:空調機のコイルや制御弁の圧力損失も加算する

配管材質の選定

冷温水配管に使用される主な配管材質は以下のとおりです。

  • 配管用炭素鋼鋼管(SGP):最も一般的な配管材。コストが低く施工性が良いが、腐食対策(亜鉛メッキなど)が必要
  • ステンレス鋼管(SUS):耐食性に優れ、長寿命。SGPよりコストは高いが、メンテナンスコストを含めたライフサイクルコストでは有利な場合がある
  • 硬質塩化ビニルライニング鋼管(VLGP):SGPの内面に塩化ビニルをライニングした配管。耐食性が向上し、冷温水配管に広く採用されている

保温・断熱設計のポイント

冷温水配管には、熱損失の防止と結露防止のための保温・断熱処理が不可欠です。特に冷水配管では、断熱不良による結露が天井染みやカビの原因となるため、確実な施工が求められます。

  • 冷水配管:ポリスチレンフォームまたはグラスウールによる断熱。結露防止のため、防湿層(アルミガラスクロス(ALK)巻き等)が必要。断熱厚さは20〜40mmが一般的
  • 温水配管:グラスウールまたはロックウールによる保温。熱損失防止が主目的で、断熱厚さは25〜50mmが一般的
  • 弁類・フランジ部:断熱が途切れる部分でもあるため、専用の保温カバーで確実に覆う。特に冷水系は結露に注意
  • 省エネ基準との関係:配管の保温厚さは省エネ計算(一次エネルギー計算)にも影響するため、基準値以上の保温厚さを確保する

配管ルート計画の実務ポイント

冷温水配管のルート計画では、以下の点に留意が必要です。

  • 配管シャフトの位置とサイズ:基本設計段階で意匠設計者と協議し、十分なシャフトスペースを確保する。特に4管式は配管本数が多いため、シャフトが不足しやすい
  • 天井内の納まり:配管は保温厚さを含めた外径で納まりを検討する。ダクト・電気ケーブルラックとの競合も考慮する
  • 梁貫通:配管が構造梁を貫通する場合は、構造設計者との協議が必要。貫通位置・サイズ・補強方法を確認する
  • 膨張・収縮対策:冷温水配管は温度変化による膨張・収縮が発生するため、伸縮継手やエキスパンションループを計画する
  • エア抜きと水抜き:配管の最高部には自動エア抜き弁を、最低部には水抜き弁を設置する。エア溜まりは騒音や能力低下の原因となる
  • バランス弁の計画:各空調機への流量配分を適切に行うため、バランス弁を配置する。変流量制御(VWV)の場合は、二方弁とバイパス配管の計画も必要

まとめ

冷温水配管はセントラル空調方式の核となる設備であり、配管方式・管径・材質・保温の選定が空調能力とコストに直結します。設計のポイントを改めて整理します。

  • 2管式はコスト優先・4管式は快適性優先。冷暖同時運転の必要性で判断する
  • 配管径は空調負荷と温度差から流量を算出し、許容流速に基づいて決定する
  • 配管材質はSGP・SUS・VLGPからコスト・耐久性を考慮して選定する
  • 冷水配管の断熱は結露防止が最重要。防湿層を含めた確実な施工を行う
  • 配管ルートはシャフト・天井内納まり・梁貫通・膨張収縮・エア抜き・バランス弁を総合的に検討する

冷温水配管の設計は、空調方式の選定・熱負荷計算・ゾーニングと一体で検討する必要があります。意匠・構造設計者との早期の連携を心がけ、合理的な配管計画を立案しましょう。

SUPERVISOR

監修者

長谷川一夫

機械設備設計部

パラダイム部長