冷温水配管は、熱を運ぶために必要な流量を求め、その流量を過大な動力や騒音なく送れるように管径を決めます。熱負荷、往還温度差、流量、圧力損失、ポンプの運転点をつなげて検討することが基本です。
2管式と4管式は冷暖房の同時需要で選ぶ
方式 | 構成 | 判断のポイント |
|---|---|---|
2管式 | 往き・還りの一組を冷水/温水で切り替える | 同一系統で季節切替を共有できるか |
4管式 | 冷水と温水にそれぞれ往き・還りを設ける | 部屋ごとの冷暖房同時需要と設置費・スペース |
中間期の方位差、内部発熱、夜間運転などを整理し、ゾーン単位の需要を確認します。4管式にするだけで省エネになるわけではありません。配管熱損失、ポンプ、熱源の運転方法も含めて比較します。熱源側の条件はチラーの選定と整合させます。
計算例① 50kWを温度差5℃で運ぶ流量
水の密度を1,000kg/m³、比熱を4.186kJ/(kg・K)、搬送熱量を50kW、往還温度差を5Kと仮定します。温度差5Kは5℃の差と同じです。
体積流量Q=熱量Φ÷(密度ρ×比熱c×温度差ΔT)
Q=50÷(1,000×4.186×5)≒0.002389m³/s=約143L/minです。kWはkJ/sなので、この単位の組合せで秒当たりの流量が得られます。温度差を小さくすると必要流量は増えますが、温度差を大きくすれば自由に省エネ化できるわけでもありません。コイル能力や熱源の運転可能範囲を確認します。
不凍液を使う場合や高温域では、水と同じ密度・比熱・粘度をそのまま用いず、液種と濃度・温度に応じた物性値で再計算します。
計算例② 実内径から流速を比較する
円管の断面積はπd²/4、平均流速はQ÷断面積です。流量143L/minで実内径50mmと65mmを比べます。
実内径の仮定 | 平均流速 | 確認すること |
|---|---|---|
50mm | 約1.22m/s | 流速・摩擦抵抗・騒音の許容条件 |
65mm | 約0.72m/s | 配管費・水量・納まりとのバランス |
呼び径50Aの内径が必ず50mmという意味ではありません。採用管種と肉厚による実内径を使います。管径を選んだ後は、主配管・枝管を区間分けし、通過流量と長さを入れた抵抗計算へ進みます。
計算例③ 配管損失と密閉回路のポンプ揚程
実内径0.05m、流速約1.22m/s、直管合計100m、ダルシー摩擦係数0.02と仮定すると、直管損失は次式で求められます。
Δp=λ×(L/d)×(ρv²/2)≒29,600Pa=29.6kPa
水頭では約3.02mです。摩擦係数は説明用の仮定で、実際は管の粗さ・流れの条件から求めます。さらにコイル、熱源、弁、ストレーナー、継手などの損失を加え、最不利回路の必要差圧を確認します。100mが往復合計なのか片道なのかを明記してください。
水で満たされた密閉循環回路では、通常、建物の高さをそのまま循環ポンプの実揚程に加算しません。往路の上昇と還路の下降がつり合うためです。ただし高所の正圧維持、充水圧力、膨張タンク、機器の耐圧、吸込条件は別途検討します。開放系と密閉系の違いはポンプの揚程計算で確認できます。
保温・材料・配管ルートの確認点
冷水管は周囲空気の露点に対する結露防止が必要です。保温厚を一律に決めず、周囲温湿度、管内温度、保温材の熱伝導率、表面条件から検討します。継目・弁・支持部まで防湿層を連続させる考え方は結露を防ぐ空調設計を参照してください。
- 管材・継手が使用温度、圧力、水質、腐食条件に適合するか。
- 熱伸縮を吸収する配管形状と固定点・支持点を計画したか。
- 高所のエア抜き、低所の排水、洗浄のための接続を確保したか。
- 弁・ストレーナーを点検でき、機器を切り離して更新できるか。
- 各回路の流量調整と部分負荷時の制御が成立するか。
計算書、系統図、機器表には、設計往還温度、流量、管径、圧力損失、設定差圧を共通して記載します。熱源やコイルの変更があった場合、配管とポンプの再確認まで行うと設計の整合を保てます。
参考:国土交通省「建築設備設計基準」。本記事の数値は原理を説明する仮定例です。実際の選定は機器・配管の設計資料に基づいて行います。
監修者
長谷川一夫
機械設備設計部
パラダイム部長



