雨水排水は、屋根や敷地に降った雨を集め、許可された放流先へ安全に導く計画です。降雨条件、集水面積、流出係数から流量を求め、入口となるドレンから放流先まで連続して能力を確認します。管径が大きくても、ドレンや下流の水位が制約になることがあります。
設計降雨と排水区域を確定する
降雨強度はmm/hで表します。計画地域の降雨強度式、採用する確率年、降雨継続時間・流達時間、自治体の開発・流出抑制基準を確認します。全国一律に100mm/hや120mm/hを採用するものではありません。気候変動の扱いも地域の最新条件に従います。
平面図では、屋根の勾配・パラペット・段差や敷地の高さから集水区域を分けます。上階の排水が下階屋根へ入る部分、庇、地下入口への流入も見落とさないようにします。流出係数Cは、雨のうち流出する割合を表す係数で、表面の性状と採用基準に合わせます。
合理式の計算例|屋根300m²と舗装面200m²
集水面積Aをm²、降雨強度Iをmm/hで扱う場合、雨水流量は次の式で求められます。
Q(L/s)=C×I×A÷3,600
m³/sで表す場合は分母を3,600,000とします。面積をhaで表す合理式の分母360とは単位が異なるので、換算を取り違えないでください。
集水区域 | 仮定条件 | 流量 |
|---|---|---|
屋根 | I=120mm/h、A=300m²、C=1.0 | 10L/s=600L/min |
舗装面 | I=120mm/h、A=200m²、C=0.9 | 6L/s=360L/min |
両者の合流部 | 同時に上記流量が到達すると仮定 | 16L/s=960L/min |
120mm/hやC=0.9は説明用の仮定です。合流部では流達時間の違いもあるため、単純合計の適用が妥当かを採用基準に沿って確認します。面積表・区域図・流量計算書の区域番号を一致させると、設計変更を追いやすくなります。
ドレン・立管・横管の能力を順に確認する
通常の経路:屋根 → ルーフドレン → 立管 → 横管・桝 → 必要な貯留施設 → 放流先
ルーフドレンは呼び径だけで決めず、メーカーの排水能力、必要な水頭、ストレーナー、防水納まりを確認します。複数台を置く場合も、屋根勾配が偏って一台に集中しないかを検討してください。
立管と横管では算定条件が異なります。横管は勾配と満流・部分流の扱いを確認し、選定表の前提に沿って管径を決めます。特殊なサイホン式システムは、一般の重力式と混在させず専用の設計法を用います。勾配と管底高さの関係は排水管径・勾配の決め方で確認できますが、汚水用の許容負荷表を雨水に流用しないでください。
敷地排水は放流先の高さと制限から計画する
敷地内の側溝・桝を配置する前に、公共下水道の区分、接続先、接続高さ、許容放流量を確認します。下流の水位上昇で自然流下が妨げられる場合、逆流対策や排水方式を再検討します。雨水を汚水系統に接続できるとは限りません。
貯留槽の容量は、ピーク流量に任意の時間を掛けるだけで確定せず、設計降雨に対する流入量と許容放流量の時間変化から必要容量を求めます。浸透施設は地盤の浸透能力、地下水位、周辺構造物への影響、地域の設置条件を確認します。協議事項は水道法・下水道法と設備設計を参照してください。
詰まり・想定を超える降雨時の経路を確保する
通常の排水経路とは別に、ドレンが落葉で詰まった場合や想定を超える雨が降った場合の越流経路を検討します。屋根の滞水による構造荷重、防水の立上り高さ、出入口や設備開口への流入を建築・構造設計者と確認します。
場所 | 見落としを防ぐ確認 |
|---|---|
屋根・バルコニー | 詰まり時の水位とオーバーフロー先 |
地下入口 | 道路からの流入、止水・集水・排水の分担 |
排水槽 | 高水位警報、停電・故障時の余裕 |
桝・側溝 | 土砂清掃、蓋の開閉、点検できる動線 |
地下排水にポンプを使う場合は排水ポンプと排水槽の容量計算と整合させます。完成後の点検方法まで図書に残すことで、設計上の能力を運用で維持しやすくなります。
参考:国土交通省「計画雨水量の算定例」、横浜市「排水設備要覧」。実際の設計降雨・放流条件は計画地域の基準を確認してください。
監修者
長谷川一夫
機械設備設計部
パラダイム部長



