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設備BIMテンプレートを自社整備する手順|RUG基準をベースに育てる実務ガイド

設備BIMの社内テンプレートを自社で整備する手順を、RUG基準をベースにしたカスタマイズの考え方とあわせて実務目線で解説。整備の順番、ファミリライブラリとの関係、バージョン管理、よくある失敗まで、何から手をつけるか分からない事務所向けにまとめます。

設備BIMテンプレートを自社整備する手順|RUG基準をベースに育てる実務ガイド
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公開日
2026年5月28日
更新日
2026年5月29日

「Revitを導入したものの、何から始めればいいか分からない」という相談をよく受けます。答えはほぼ一つで、「まず社内テンプレートを作ること」です。テンプレートがないまま走り出すと、プロジェクトごとに設定がバラつき、毎回ゼロから作り込むことになって、CAD時代より時間がかかってしまうことすらあります。BIMの生産性は、テンプレートの完成度でほぼ決まると言ってよいほどです。本記事では、設備BIMの社内テンプレートを自社で整備する手順を、RUG基準をベースにしたカスタマイズの考え方、ファミリライブラリとの関係、バージョン管理、よくある失敗まで、何から手をつけるか分からない事務所に向けて実務目線で整理します。

そもそもテンプレートとは何か

Revitにおけるテンプレートとは、ビュー設定、システムタイプ、表示設定、タグ、凡例、単位設定、文字スタイルなど、「そのプロジェクトで使うルールを詰め込んだ雛型ファイル」です。Revitでは.rte形式、Rebroでは.rep形式で保存します。プロジェクトを新規作成するたびにこの雛型から始めることで、社内の誰が作っても同じ品質・同じ見た目の図面に揃う、というのがテンプレートの本質的な価値です。

見方を変えれば、テンプレートは「設計者の判断を減らす仕掛け」です。色や線の太さ、表記方法を毎回考える必要がなくなれば、設計者は本来集中すべき「設計そのもの」に時間を使えます。テンプレート整備は単なる初期設定の手間ではなく、社内の作図品質を下から支える投資だと捉えると、優先度のつけ方が変わってきます。

RUG基準は「ゴール」ではなく「出発点」

RUG(Revit User Group Japan)が公開している設備向けテンプレートやファミリは、国内の設備設計実務を深く踏まえてつくられており、出発点としては非常に優秀です。ゼロから自前で組むより、まずRUG基準から始めるのが現実的でしょう。特に、社内に作図ルールの雛形がまだない事務所にとっては、業界の標準的な考え方をそのまま取り込める点でもメリットがあります。

ただし、RUG基準をそのまま使えば完成、というわけではありません。事務所ごとの作図ルールや、得意分野(医療、データセンター、商業施設など)に応じてカスタマイズする必要があります。RUG基準を「ベース」として、その上に自社レイヤーを重ねていく——このイメージを持っておくと、どこをいじり、どこを残すかの判断がしやすくなります。逆に、すべてを自社仕様に作り替えようとすると、RUG側の更新に追従できなくなるため、手を入れる範囲は必要最小限に絞るのがコツです。

整備手順:要素ごとに区切って進める

テンプレート整備は、要素を次の順番で区切って進めると詰まりにくくなります。

  1. ビューと表示設定:表示するオブジェクト、色、線の太さ、ダクトや配管の表記方法を社内で決める
  2. システムタイプ:空調・衛生・電気のシステム分類を設定し、色分け表示とタグを関連づける
  3. タグと凡例:拾い出しや凡例表記を整え、図面上で情報が正しく読み取れる状態にする
  4. 雛型ファイルとしての保存(.rte/.rep):それまでの設定を雛型プロジェクトファイルとして仕上げる

この順番には理由があります。表示設定が決まらないとシステムタイプの色分けが生きず、システムタイプが固まらないとタグの関連づけがやり直しになるからです。つまり、土台となる設定から順に固めていくと、手戻りが最小限に済みます。

すべてを一度に決めようとすると行き詰まるので、要素ごとに区切り、そのつど社内レビューを挟むのが、止まらずに進めるコツです。レビューには、実際に作図を担う設計者を必ず巻き込んでください。作る人と使う人が離れると、現場で使われないテンプレートになりがちだからです。

ファミリライブラリとセットで考える

テンプレートと必ずセットで整えたいのが、ファミリライブラリです。ダクト、配管サポート、損失計算用の接続部品、照明器具、コンセントなど、「よく使うファミリ」をシェアパラメータ付きで整備し、テンプレートに読み込んだ状態にしておくのが理想です。ここが揃っていると、設計者は部品を探す手間なく作図に集中でき、拾い出しや数量集計の精度も安定します。

特に重要なのがシェアパラメータの統一です。ファミリごとにバラバラのパラメータ名を使っていると、拾い出しや集計で集計軸がそろわず、せっかくのBIMのデータ活用が台無しになります。テンプレートとファミリを別々に整備するのではなく、「どの情報をどのパラメータに持たせるか」を最初に決めてから両方を揃えていくと、後からの手戻りが大きく減ります。

バージョン管理のルールを先に決める

テンプレートは生き物です。使いながら改訂し続けるものなので、バージョン管理の仕組みを先に決めておかないと、「どれが最新か分からない」という事態に必ず陥ります。バージョン名の付け方と保存場所のルールを定め、変更履歴を残せる運用にしておくこと。可能であればGitやクラウドのバージョン管理サービスを使うと、誰がいつ何を変えたかが追え、安全に運用できます。

あわせて決めておきたいのが、改訂を詰める「窓口」を一本化することです。設計者がそれぞれ勝手にテンプレートをいじり始めると、改善が個人の手元に散らばり、社内標準がさらに分裂します。改訂要望はいったん集めて、一定期間ごとにまとめて反映させる運用にすると、バージョンが乱れにくくなります。

よくある失敗パターン

テンプレート整備で陥りがちな失敗を、あらかじめ知っておくだけでも回避しやすくなります。

完璧を目指して永遠に出せない

最も多い失敗が、「完璧を目指すあまり、いつまでもリリースされない」というパターンです。設備設計は分野が広く、すべてを盛り込もうとすると永遠に完成しません。最初は70点でリリースし、実際のプロジェクトで使いながら改訂していく。この「走りながら直す」進め方が、結局いちばん早く実用レベルに到達します。

作っただけで定着させない

せっかくテンプレートを作っても、使い方を周知せず、設計者が従来通りのやり方で作図してしまうケースも多く見られます。テンプレートは配って終わりではなく、「なぜこの設定なのか」と「どう使うか」を短いマニュアルや勉強会で伝えるところまでがセットです。導入初期に一度、使い方を共有する場を設けるだけでも定着率は大きく変わります。

RUG基準をカスタマイズしすぎる

逆に、ベースとしたRUG基準を原形がなくなるほど作り込んでしまうのも失敗のもとです。RUG基準が更新されたときにその成果を取り込めなくなり、保守の負担が重くのしかかります。「社内独自にしなければならない部分」だけに手を入れ、それ以外はできるだけ標準に合わせておくと、長期的に楽になります。

まとめ:テンプレートは「社内ルールブック」

社内テンプレートは、BIMの使いこなしを規定する「社内ルールブック」です。RUG基準を足がかりに、自社の設計ルールを乗せ、ファミリライブラリとセットで整え、使いながら育てていく。完璧な初版を待つのではなく、70点で出してバージョン管理と改訂を回す。これが、人手の限られる中小事務所で現実的にワークする進め方だと考えています。

監修者

長谷川一夫

機械設備設計部

パラダイム部長

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