建設DXナレッジ

建設DXの事例5選|図面共有・写真管理・業務標準化の実例

鹿島建設、白石建設、アーバンライフ、トーテック、西松建設の建設DX事例を公式公開資料から紹介。図面共有、写真・検査記録、業務標準化の課題と取り組みを整理し、中小建設会社や設計事務所が応用する手順を解説します。

建設DXの事例10選|設計・施工連携でムダを減らした取り組み
workflow
operations
公開日
2026年6月12日
更新日
2026年9月25日

建設DXの事例を読むときは、導入したツールだけでなく「どの業務を、どのように変えたか」に注目すると、自社で取り組む範囲を決めやすくなります。図面を探す、変更を伝える、写真を整理するという身近な作業にも改善の余地があります。

本記事では、製品提供会社の公式サイトで公開されている5社の事例を紹介します。2026年9月25日に参照しました。各事例の内容は掲載時点の取り組みであり、パラダイムの施工・支援実績ではありません。効果の記述は公開事例に基づき、応用のポイントは編集上の考察として区別しています。

5つの事例を課題別に見る

企業

主な課題

読むときのポイント

鹿島建設

蓄積した図面・書類の検索と権限管理

保管した情報を必要な人が取り出せるか

白石建設

現場情報の分散と検査後の転記

指摘の記録と共有を一続きにできるか

アーバンライフ

関係会社への是正箇所の伝達

場所・写真・指示を対応させられるか

トーテック

紙の報告書と稼働状況の集計

現場の入力を次の業務で活用できるか

西松建設

写真管理の属人化と現場ごとの運用差

共通ルールと導入支援を用意できるか

1.鹿島建設:図面・書類を必要な人が探せる環境へ

課題:長年蓄積した建物情報について、複数の建物にまたがる検索や、利用者ごとの閲覧範囲に課題がありました。

取り組みと変化:社内システムの一部をPhotoructionに置き換え、図面等のデータを移行。公式インタビューでは、部署単位の権限設定と、必要な情報へのアクセスの改善が紹介されています。

自社で応用するなら:まず「どの図面を探すのに困るか」を担当者以外にも聞きます。検索条件と公開範囲を決めることは、少人数の事務所でも始められます。大規模な移行の方式や費用をそのまま自社に当てはめる必要はありません。

出典:Photoruction公式・鹿島建設の導入事例

2.白石建設:検査の指摘と記録をその場で共有

課題:現場情報が担当者のパソコン等に分散し、紙に書いた検査指摘の共有や、検査後の一覧への転記に手間がかかっていました。

取り組みと変化:ANDPAD図面とチャットを利用。公式事例では、写真と書き込みを使った共有や、検査後に指摘事項の一覧を作る作業の負担軽減が報告されています。

自社で応用するなら:指摘を「階・部屋・図面位置・内容・担当・期限・対応状況」の組で残します。写真だけを送って終わりにせず、是正後に誰が確認するかまで決めると、記録が次の行動につながります。

出典:ANDPAD公式・白石建設の導入事例

3.アーバンライフ:是正する場所を図面と写真で伝える

課題:リノベーションの関係会社間で情報共有に差があり、文字中心の指示では是正箇所を見つけにくい状況がありました。

取り組みと変化:ANDPADの図面・チャットを活用し、関係者が直接やり取りできる環境を整備。公式事例では、連絡の負担や伝達ミス、是正箇所の分かりにくさの改善が紹介されています。

自社で応用するなら:指示文に図面番号と改訂番号を付け、対象箇所を示した画像を添えます。協力会社が同じ図面を開けるかも確認し、口頭説明だけに依存しない状態をつくりましょう。

出典:ANDPAD公式・アーバンライフの導入事例

4.トーテック:現場報告を稼働管理につなげる

課題:紙の報告書から作業実績を読み取り、表計算ソフトへ入力して、人員配置を考えるまでに複数の工程が必要でした。

取り組みと変化:ANDPADの日報・ボード等を活用し、現場からの報告と集計をデジタル化。図面上で施工記録や写真を管理する取り組みも公開されています。

自社で応用するなら:日報の項目を、翌日の手配や進捗判断に使う情報から逆算します。「入力項目を増やしただけ」にならないよう、同じ内容の転記がどこで減るかを確認します。

出典:ANDPAD公式・トーテックの導入事例

5.西松建設:写真管理を共通化し、定着を支える

課題:写真や検査帳票の管理方法が担当者・現場で異なり、必要な記録の検索や異動後の操作習得に負担がありました。

取り組み:Photoructionの活用が一部の支社から広がり、2026年4月に全社での運用統一を開始したと紹介されています。操作説明やDXサポーターによる支援を通じて、利用開始時の負担を減らす進め方です。全社展開の最終的な効果が確定した事例としては扱いません。

自社で応用するなら:よく使う操作を絞り、質問先を一つ決めます。共通ルールだけを配布するより、実際の案件で操作し、困った点をルールに反映する場を設けると改善を続けやすくなります。

出典:Photoruction公式・西松建設の導入事例

自社に合う事例を選ぶ3つの視点

同じ作業上の困りごとがあるか

会社の規模が同じでも、問題が違えば必要な仕組みは変わります。図面を探す時間、変更連絡の漏れ、写真の転記など、実際に発生している作業から照らし合わせましょう。

関係者と運用条件を再現できるか

現場で使う端末、通信環境、協力会社の参加、承認者の確認時間が整うかを見ます。ツール名だけを合わせても、配布や承認の手順が曖昧なら同じ結果は期待できません。

何を成果として測るか

他社の削減率を自社の目標にそのまま置かず、同じ種類の作業を導入前後で測ります。図面検索時間や転記回数に加え、配布漏れや未承認図面の使用が起きていないかも確認します。

最初の1案件で試す進め方

  1. 困っている作業を一つ選び、現在の手順を書き出す。
  2. 図面・写真・報告書の保管先と担当者を決める。
  3. 同じ案件の関係者で試し、質問や例外を記録する。
  4. 時間と確認漏れを振り返り、ルールを直してから広げる。

図面共有から始める方は図面管理の基本、製品導入を検討する方は導入要件と試用チェックリストが次の判断材料になります。

設備設計と施工現場の連携に課題がある方は、現在の業務の流れを添えてパラダイムへご相談ください。

監修者

猪

猪狩理

設備設計士

パラダイム部長