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排煙設備の設置基準と免除条件|2025年改正・告示1436号と排煙量の計算例

排煙設備の要否を令126条の2から確認し、告示1436号の免除条件、自然排煙と機械排煙の違いを整理。2025年11月改正による排煙口の高さ・号番号の変更と、300m²の風量・断面積計算例を出典付きで解説します。

排煙設備の設置基準と免除条件|令126条の2・告示1436号の判定フローと設計チェックリスト
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公開日
2026年5月6日
更新日
2026年9月11日

排煙設備は「設置対象→適用除外→設備仕様」の順に確認する

排煙設備は、火災時に発生する煙を屋外へ排出するための設備です。建築基準法に基づく設計では、施行令第126条の2で設置の要否を確認し、設置する場合は第126条の3と関連告示で区画・排煙口・排煙量等を確認します。面積だけで免除や方式を決めることはできません。

本記事は居室等の一般的な排煙設備を中心に扱います。特別避難階段の付室、非常用エレベーターの乗降ロビー、消防法に基づく排煙設備などは、対象条文・目的・仕様を別に確認してください。

2025年11月改正で変わった排煙の規定

国土交通省の技術的助言(令和7年10月31日)によると、2025年11月1日から、無窓居室の判定、排煙口の高さ、防煙壁などの規定が見直されています。従来の「天井から80cm以内」を天井高にかかわらず一律に適用しないようにします。

また、令和7年国土交通省告示第998号の新旧対照表では、告示1436号の旧第三号が削除され、旧第四号が第三号へ繰り上がっています。過去の資料にある「第四号ヘ」等を設計図へ記す際は、現行の号番号と条件を照合してください。旧第三号は排煙設備の設置を前提とした排煙口位置の特例であり、「天井高3mなら設備そのものを省略できる」という意味ではありません。

排煙設備の設置対象|令126条の2

以下は設置対象を確認する入口です。複数の項目に該当することがあるため、一つの除外条件だけで全体を対象外としないようにします。

対象の入口

主な条件

追加で確認する点

一定用途の特殊建築物

法別表第一(い)欄(一)〜(四)項の用途で延べ面積500m²超

用途の該当性、ただし書の適用除外

3階以上の建築物

階数3以上かつ延べ面積500m²超

高さ31m以下の部分にある居室の100m²以内ごとの防煙区画による除外等

排煙上の無窓居室

令116条の2第1項第二号の開口部を有しない居室

採光用の窓の有無と同じ判定ではない

大規模建築物の大きな居室

延べ面積1,000m²超の建築物にある床面積200m²超の居室

高さ31m以下の部分にある居室の100m²以内ごとの防煙区画による除外等

根拠は建築基準法施行令第116条の2・第126条の2です。「窓がある」ことと「排煙上の有効な開口部がある」ことは異なります。開放できる部分の位置・面積・構造を確認します。2025年改正では、一定の給気口・排気口を設ける場合の無窓判定にも別途算定方法が設けられています。

令126条の2第1項のただし書には、一定の区画された部分、学校等、階段・昇降路等、火災発生のおそれの少ない構造の建築物等の規定があります。ただし、ここでの適用除外が他条文による付室排煙等まで不要にするわけではありません。

告示1436号の免除条件|100m²・内装不燃だけで決めない

告示1436号は、令126条の2第1項第五号に基づく建築物の部分を定めます。現行の第三号には、用途、階、区画、出口、内装などの組み合わせによる条件があります。面積や仕上げの一項目だけを抜き出さず、該当する号・イロハ以下の要件を一式で確認します。

現行第三号ヘ(5)の確認例

同号ヘは、高さ31m以下の建築物の部分を対象とし、一定の特殊建築物の主たる用途に供する地階部分を除くなどの前提があります。そのうえで(5)は、床面積100m²以下で、壁・天井の室内側の仕上げと下地について、令和7年告示989号に従う不燃材料による措置またはこれに準ずる措置を求める区分です。

例えば80m²の室でも、「壁紙と天井材が不燃」という情報だけでは判断できません。対象用途・所在階・高さのほか、下地や材料構成まで条件に合っているかを確認します。既存の仕上げ表に「不燃」と書かれている場合も、対象範囲と認定仕様を確かめます。

天井高3mだけでは免除できない

2024年の改正には、天井高により許容される面積が変わる区分もありますが、区画、警報設備、避難経路などの条件を伴います。「天井高3m以上だから免除」「100m²以下だから免除」という単独の判断はできません。改正経緯は国土交通省の2024年施行通知・第10と、2025年の新旧対照表をあわせて確認してください。

免除を採用する場合は、室名・対象範囲・根拠条項・用途・床面積・天井高・区画・内装の対応表を作ります。内装や間仕切りの変更時に、免除条件も再確認できるようにするためです。

排煙口の高さ|令和7年告示995号

令126条の3第1項第三号に基づき、壁に設ける排煙口の位置は令和7年国土交通省告示第995号で確認します。天井に設ける場合と、下表の壁の部分に設ける場合を区別します。

床面から天井までの高さ

排煙口を設けられる壁の部分

2.6m以下

天井から下方80cm以内。ただし最も短い防煙壁のたけが80cm未満なら、そのたけ以内

2.6m超

床面から1.8m以上。ただし最も短い防煙壁の下端が1.8mを超える場合は、その下端高さ以上

例えば天井高3.0mで、たけ0.5mの防煙垂壁がある区画では、壁の有効部分の下限は床から2.5mとなります。天井高が2.6mを超えるからといって、防煙壁の下端より低い開口まで有効にできるわけではありません。梁や天井段差がある場合も、断面図で位置関係を確認します。

自然排煙と機械排煙の基準を比較する

項目

自然排煙

機械排煙

基本となる排煙経路

直接外気へ開く排煙口

排煙口・風道・排煙機を通じて屋外へ排出

一般仕様の能力確認

直接外気に接する排煙口の開口面積が区画床面積の1/50以上

120m³/min以上、かつ単一区画1m³/min・m²以上。複数区画系統は最大区画2m³/min・m²以上

設計で確認する点

実際に開放できる有効な範囲、開き方、操作、外部条件

ダクト抵抗、給気、ファンの運転点、予備電源、連動・監視

上表は令126条の3第1項の一般仕様です。同条第2項の特殊な構造や大臣認定等は、採用する仕様に従います。排煙上の無窓判定で用いる開口面積の緩和を、そのまま一般仕様の自然排煙口の面積へ転用しないようにします。

防煙区画は一般仕様で500m²以内ごと、各部分から排煙口までの水平距離は30m以下とします。手動開放装置は、壁付けの手で操作する部分が床から0.8〜1.5m、天井から吊るす場合はおおむね1.8mです。防煙壁の構造には2025年改正の内容もあるため、単に「不燃の垂壁50cm」とだけ指定せず、採用する構造を明記します。

排煙風量の計算例|300m²の区画

Aを単一区画面積、Amaxを排煙機が受け持つ最大区画面積とすると、一般仕様の能力の下限は次のように表せます。maxは大きい方を採用する意味です。

  • 単一区画:Q=max(120、A×1)m³/min。
  • 複数区画:Q=max(120、Amax×2)m³/min。

例

必要排煙能力の下限

m³/hへの換算

単一区画80m²

max(120、80)=120m³/min

7,200m³/h

単一区画300m²

max(120、300)=300m³/min

18,000m³/h

300m²と200m²を受け持つ排煙機

max(120、300×2)=600m³/min

36,000m³/h

複数区画の例で用いる面積は300+200の合計500m²ではなく、最大区画300m²です。また、m³/minをm³/hへ直すときは60倍します。複数区画の運転条件・排煙口の開放状態・各経路の抵抗も確認し、計算上の風量を実際に排出できる機器を選びます。

排煙口・ダクトの断面積を概算する

単一区画300m²でQ=300m³/min=5m³/s、説明用の設計風速を10m/sとすれば、必要な有効断面積は5÷10=0.50m²です。円形なら内径の計算値は√(4×0.50÷π)≒0.798mとなります。

これは指定した風速だけから求めた断面です。排煙口の羽根・ダンパー等で有効開口が小さくなる場合、外形寸法の面積とは一致しません。圧力損失、実内寸、製品の有効開口率、給気条件を加えて選定します。10m/sはこの例の入力条件で、一律の法定設計風速ではありません。

排煙計算ツールとの照合

排煙風量・排煙口サイズ計算ツールでは、最大区画面積、区画数の条件、設計風速から試算できます。300m²・単一区画・10m/sでは、18,000m³/h、有効断面積0.50m²、円形φ800mmの目安が表示され、上の手計算と対応します。自然排煙の面積目安は300÷50=6m²です。

ツールは設置義務や免除条件を判定するものではありません。区画と方式を先に確定し、面積目安だけで排煙窓や排煙ファンを決めないようにします。

図面・仕様で確認する項目

  • 設置対象・適用除外の根拠を室ごとに記録し、設備設計の法規チェックリストと整合させる。
  • 平面図に防煙区画・面積・排煙口・水平距離を示し、断面図に天井と防煙壁・排煙口の高さを示す。
  • 排煙口・ダクト・ダンパーの仕様は適用条文、告示、認定仕様と照合する。一般空調用の仕様をそのまま転用しない。
  • 排煙機の耐熱性能、風量・静圧、駆動部の保護、火災時の運転条件を製品仕様で確認する。
  • 電源を要する設備の予備電源、起動・開放の連動、監視を電気設計と調整し、非常電源の法的要件を確認する。
  • 竣工時の作動・風量確認と、点検・復帰操作の経路を確保する。

参考資料

法令・資料・ツール表示確認日:2026年9月11日。一般仕様の計算例と主な確認事項を整理しています。実案件では適用時点の法令、告示の全要件、計画地の取扱いを確認し、確認検査機関等との協議内容を設計図書に反映してください。

監修者

長

長谷川一夫

機械設備設計部

パラダイム部長

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