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換気設備の法的要件|建基法第28条・シックハウス規制と機械換気3方式の設計チェックリスト

換気設備の法的要件を体系的に解説。建基法第28条の居室換気、第28条の2のシックハウス規制(0.5回/h)、機械換気3方式の使い分け、給排気バランスを、設計レビュー用チェックリスト付きでまとめました。

換気設備の法的要件|建基法第28条・シックハウス規制と機械換気3方式の設計チェックリスト
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公開日
2026年5月6日
更新日
2026年5月7日

換気設備に関わる2本柱の法令

換気設備の設計には、建築基準法第28条(居室の採光・換気)と第28条の2(シックハウス対策)の2本柱の理解が不可欠です。第28条は居室の最低換気量と自然換気開口を定め、2003年の改正で導入された第28条の2は、ほぼ全ての居室に機械換気の設置を義務づけています。両者は独立した規定で、それぞれの要件を同時に満たす必要があります。本記事では、両条文の要件と機械換気三方式の使い分け、設計実務のチェックポイントを整理します。

建基法第28条:居室の換気

自然換気の要件

居室には、換気のための窓その他の開口部、または換気設備を設ける必要があります。自然換気で対応する場合、換気に有効な開口部の面積は居室の床面積の1/20以上が求められます。「換気に有効」とは、開閉可能で外気に直接通じる構造であることを意味し、ガラスの嵌め殺し部分は含まれません。床面積に対する開口比は意匠図段階で確認できるため、建築設計者と早期に共有して開口計画に反映させます。

機械換気の要件

機械換気で対応する場合、必要換気量は1人あたり20㎥/h以上が基本要件です。実務では、用途・在室密度に応じてオフィスで25〜30㎥/h・人、会議室や食堂など滞在密度の高い空間では30〜40㎥/h・人を設計値とするのが一般的です。劇場・映画館・集会場などの特殊建築物では、用途特性から機械換気の設置が義務づけられています。

建基法第28条の2:シックハウス規制

換気回数の要件

シックハウス対策としての機械換気は、原則として0.5回/h以上の換気量を確保する必要があります(居室の気積×0.5倍以上)。住宅以外の居室では一定条件下で0.3回/h以上に緩和される場合がありますが、実務上はほぼ全ての建物で0.5回/h相当の連続換気を計画するのが安全です。換気は24時間連続運転を前提とし、停止スイッチを設ける場合でも常時運転を妨げない構造とします。

内装材の区分(F☆☆☆☆等)

ホルムアルデヒドの発散区分はJISで規定され、F☆☆☆☆(発散量が極めて少ない)が最も等級が高く、内装仕上げ材としての制限がありません。F☆☆☆・F☆☆は使用面積に制限があり、F☆・区分なしの材料は使用禁止です。設計仕様書ではフローリング・建具・ボード・接着剤など内装材ごとに等級を明記し、施工段階での材料変更(同一等級内での置換を含む)をトレースできるよう管理することが重要です。

居室以外と換気経路の確保

居室以外の廊下・収納・トイレ・浴室などにも内装仕上げの制限があり、シックハウス換気の経路として連続性を確保することが求められます。建具のアンダーカット(一般に1cm程度)やガラリの設置で「給気 → 居室 → 排気」の通気経路を作り、建物全体を一つの「換気回路」として機能させる計画とします。

機械換気設備の3方式と使い分け

第一種換気(給気機械・排気機械)

給気・排気の両方を機械で行う方式で、室内圧を任意にコントロールできるのが特徴です。給排気量のバランスにより陽圧・等圧・陰圧を作り分けられ、全熱交換器の組み込みも容易です。執務空間、病院、ホテル客室、研究室など幅広い用途で採用されます。エネルギー消費が大きいため、全熱交換器やDCV制御による省エネ対策が前提となります。

第二種換気(給気機械・排気自然)

給気を機械、排気を自然で行い、室内を陽圧に保つ方式です。外部からの汚染空気・粉塵・虫の侵入を防げるため、手術室・無菌室・クリーンルームなど高清浄度が必要な空間で採用されます。一方で、冬期の冷湿空気が壁体に押し込まれて内部結露リスクが高まりやすいため、外皮性能・湿度管理に注意が必要です。

第三種換気(給気自然・排気機械)

給気を自然、排気を機械で行い、室内を陰圧に保つ方式です。臭気・水蒸気・燃焼ガスの拡散を防げるため、トイレ・浴室・厨房・喫煙室など発生源の局所排気で標準的に用いられます。コストが低くシンプルで、住宅の常時換気としても普及しています。

用途別の組み合わせ方

実務では建物用途・室種別に方式を組み合わせて計画します。たとえばオフィスビルでは、執務エリアを第一種(全熱交換器付き)、トイレ・湯沸室を第三種、サーバー室を第二種などとミックスします。各エリアの圧力バランスがビル全体の気流方向(中央コア→外周、または外周→中央コア)を決めるため、給排気量を一覧表にまとめてレビューすると整理しやすくなります。

換気設計の実務フロー

換気設計は次の流れで進めるのが効率的です。第1に、各室を「居室」「非居室」に分類します。第2に、居室について第28条の必要換気量(人数×20㎥/h以上)を算定します。第3に、第28条の2のシックハウス換気量(気積×0.5回/h)を算定し、両者の大きい方を必要外気量とします。第4に、室用途・要求圧力から換気方式(第一種〜第三種)を選定し、給排気経路を計画します。第5に、建物全体の給気合計と排気合計をバランスシートで確認し、外調機・全熱交換器など空調側の外気処理と整合させます。最後に、確認申請に向けて根拠と計算書を設計図書に明記します。

設計レビュー用チェックリスト

設計レビューで確認すべき項目を整理しました。

□ 各室を居室/非居室に分類し、居室の換気要件を判定したか

□ 自然換気採用居室で開口面積が床面積の1/20以上を確保しているか

□ 機械換気の必要外気量が1人あたり20㎥/h以上を確保しているか

□ シックハウス換気量(気積×0.5回/h相当)を計算で確認したか

□ 居室の必要換気量は第28条と第28条の2の大きい方で計画されているか

□ 内装仕上げのホルムアルデヒド等級(F☆☆☆☆等)が仕様書に明記されているか

□ 居室以外の通気経路(建具アンダーカット・ガラリ)が計画されているか

□ 室用途に応じて第一種〜第三種の換気方式が選定されているか

□ 建物全体の給気量と排気量がバランスシートで整合確認されているか

□ 空調側の外気処理(全熱交換器・外調機)と整合しているか

□ 24時間連続運転を前提とした制御計画(停止スイッチの仕様含む)になっているか

まとめ

換気設備の法的要件は、建基法第28条による居室換気の最低基準(自然換気1/20、機械換気20㎥/h・人)と、第28条の2によるシックハウス対策の換気回数(0.5回/h)の2層構造です。両者の大きい方を必要外気量として計画し、第一種〜第三種の換気方式を用途に応じて使い分け、建物全体の給排気バランスを整えることが基本となります。本記事のチェックリストを設計レビューに組み込み、漏れのない換気設計を実現してください。

監修者

長谷川一夫

機械設備設計部

パラダイム部長

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