給水管径は「器具数が何台なら何mm」と一律には決まりません。区間ごとの同時使用水量を求め、末端器具に必要な圧力を残せるかを計算したうえで、流速・騒音・水撃・施工条件を確認します。呼び径と実際の内径の違いにも注意が必要です。
計算前にそろえる4つの条件
条件 | 確認内容 |
|---|---|
給水の入口 | 水道事業者が示す設計水圧、受水槽・増圧設備の有無 |
需要 | 器具の種類・方式・台数、同時使用の扱い、特殊機器の連続使用 |
配管 | 管材、実内径、長さ、高低差、継手、メーター・弁類 |
末端条件 | メーカーが必要とする流量と動水圧、給湯設備の圧力損失 |
水道本管の圧力は変動します。現地で一度測った静水圧を、そのまま設計に使える最低水圧と考えず、水道事業者との協議条件を計算書に記載します。方式の選定は直結直圧・直結増圧・受水槽方式の比較も参照してください。
同時使用水量を区間ごとに求める
器具給水負荷単位法や器具数から同時使用を見込む方法など、採用できる算定方法を確認します。建物全体の設計水量と、各枝管が受け持つ水量を区別し、系統図の区間ごとに集計します。全器具の定格流量を単純に合計する方法と、根拠なく一律の使用率を掛ける方法のどちらも避けます。
負荷単位の値は、便器の洗浄方式や用途・使用条件によって異なります。排水負荷単位の表を流用してはいけません。また、厨房や製造機器など同時使用が明確な設備は、一般器具の確率的な換算だけで扱えるか確認します。元資料の表・換算曲線・適用条件をセットで残すことが大切です。
計算例① 流量60L/minから流速を求める
給水量を60L/minと仮定すると、60÷1,000÷60=0.001m³/sです。円管の平均流速は、v=Q÷(πd²/4)で求めます。ここでdは呼び径ではなく実内径です。
仮定した実内径 | 断面積 | 流速 |
|---|---|---|
30mm=0.030m | 約0.000707m² | 約1.41m/s |
40mm=0.040m | 約0.001257m² | 約0.80m/s |
同じ流量では太い管ほど流速が下がります。ただし、この比較だけで管径を確定することはできません。地域の基準、配管用途、必要圧力、管材・弁類の許容条件を照合します。過大な管径は材料費や滞留水量も増やすため、必要条件に基づいて選びます。
計算例② 最不利経路の水頭を確認する
水の密度を1,000kg/m³、重力加速度を9.81m/s²とすると、圧力300kPaは約30.6mの水頭です。入口の利用可能圧力を300kPaと仮定し、次の経路を検討します。
項目 | この例の仮定 |
|---|---|
入口で利用できる水頭 | 30.6m |
器具までの高さ | 10.0m |
器具に残す圧力50kPa | 約5.1m |
メーター・弁等の損失 | 4.0m |
直管・継手の損失 | 6.0m |
残余は30.6−10.0−5.1−4.0−6.0=5.5mです。数値は説明用の仮定であり、先ほどの管径で損失6mになるという意味ではありません。実際には選んだ管の流量・材質・内径・長さから摩擦損失を求め、継手や機器の抵抗を加えて計算します。
最不利経路は、最も遠い器具までの経路とは限りません。高低差や必要動水圧の大きい器具、抵抗の大きい機器を経由する系統も比較します。損失を水頭mと圧力kPaのどちらで扱うか統一すると、単位の取り違えを防げます。
水撃・材料・施工後の確認まで含める
流速が適正でも急閉鎖弁やポンプ停止で圧力変動が起こることがあります。ウォーターハンマーの原因と対策を踏まえ、制御、支持、防止器の必要性を検討します。管材は水質・温度・圧力・異種金属接続の条件に合わせます。
- 系統図・計算書・平面図の管径と器具台数が一致しているか。
- 実内径と継手の抵抗を、採用する製品に合わせたか。
- 逆流防止、区画貫通、点検できる弁位置を確認したか。
- 完成時に代表末端の流量と動水圧を確認する計画があるか。
給水申込みや衛生面の確認は水道法・下水道法と設備設計で整理しています。配管ルートが変わったときは、長さと機器抵抗を更新して末端圧力まで再確認しましょう。
参考:国土交通省「建築設備設計基準」、東京都水道局「給水方式」。実際の算定法・許容条件は管轄水道事業者の基準に従ってください。



