Revitを使い始めてスキルが上がってきた設計者から、「Dynamoを使うと何ができるのか」という質問をよく受けます。Dynamoは、ビジュアルなローコードプログラミングツールで、Revitの作業を自動化するために使えます。本記事では、設備設計でDynamoを使う具体例、始める際のハードル、そして自動化すべき作業の見分け方を実務目線で整理します。
Dynamoとは何か
Dynamoは、Revitに組み込まれたビジュアルプログラミングのツールです。ノードと呼ばれるブロックを線でつないで処理を記述します。コードを生で書く代わりにノードを並べてプログラムを組む、というイメージです。プログラミング未経験の設計者でも取り組みやすいのが特徴です。
設備設計で何に使えるか
設備設計でDynamoを使えるシーンは多くあります。たとえば、「表データからVAVボックスを自動配置する」「タイトルブロックの一括更新」「シェアパラメータの一括設定」「未接続ダクトの洗い出し」といった、手作業だと手間のかかる作業を自動化できます。
始める際のハードル
Dynamoを始めるときのハードルは一つではなく、「段階的」にあります。まず、ノードベースの言語という考え方に慣れる必要があります。次に、RevitのAPIのコンセプト(たとえば「ファミリインスタンス」と「ファミリタイプ」の違い)に慣れる必要があります。この二つを越えるのに、設計者で最低1ヶ月、コーディング未経験だともう少し掛かると見ておくと良いでしょう。
よく使われるパッケージ
Dynamoには、コミュニティが作った「パッケージ」という拡張ノード集があり、よく使われる処理を手軽に記述できます。「Clockwork」「BIM4Struc Productivity」「Spring Nodes」などが有名で、ここからノードを拾って使うと、ゼロから作るよりも近道です。
自動化すべき作業の見分け方
すべての作業をDynamoで自動化しようとしないことが重要です。自動化すべきは「頻度高く反復する」「ルールが明確」「手作業だと時間がかかる」作業です。一回きりの作業は、自動化するより手動でやった方が早いことが多いです。この見分けを社内でしておかないと、「Dynamoで何でもやろうとして逆に生産性が下がる」という本末転倒に陥ります。
社内にスクリプト資産をためる
Dynamoで作ったスクリプトは、.dynファイルとして保存され、共有・再利用できます。これを社内資産としてためていくと、BIMチームの生産性が徐々に上がります。ただし、スクリプトもテンプレートと同じで「バージョン管理」と「ドキュメント」が必要です。「誰が作ったか分からないスクリプト」がたまると、メンテナンスできなくなります。
次のステップ:PythonやC#
Dynamoでできることに限界を感じたら、PythonスクリプトやC#でのRevit APIアドイン開発という選択肢もあります。PythonはDynamo内でもノードとして使えるため、複雑な処理をPythonで書いてDynamoグラフに組み込む、という進め方も現実的です。
まとめ:見分けと資産化が鍵
Dynamoは、使いこなせるとBIMの生産性を大きく上げるツールです。ただし、学習コストがあり、自動化すべき作業の見分けも重要です。社内に一人「Dynamo担当」を設ける、もしくは外部コンサルに委ねるという進め方もありです。いずれにせよ、作ったスクリプトを資産として残していくことが大切です。
パラダイムにご相談ください
パラダイムでは、設備設計事務所向けのDynamoスクリプト製作、Dynamoを始める社内トレーニング、自動化すべき作業の見分けをお手伝いしています。「Dynamoを使ってみたいが何から始めればいいか分からない」という段階からご相談いただけます。お気軽にお問い合わせください。
監修者
長谷川一夫
機械設備設計部
パラダイム部長


