Revit MEPのファミリは、機器の形状を作るだけでは完成しません。適切なカテゴリ、接続に使うコネクタ、図面や集計で使う情報をそろえ、プロジェクトに読み込んで動作を確認する必要があります。
この記事では、簡略な送風機を例に作成の順序を説明します。実在製品の寸法や性能を示すものではありません。実案件ではメーカー資料と設計条件を使い、採用するRevitのバージョンで検証してください。
作成前に用途と必要な情報を決める
まず、配置調整、系統接続、機器表、数量、保守空間のどこに使うかを決めます。必要な用途が決まっていないまま細部まで作ると、作成と保守の負担が増えます。メーカーが提供するファミリがある場合も、用途に合うかを同じ基準で確認します。
項目 | 送風機の例 | 設計時の判断 |
|---|---|---|
形状 | 外形、接続口、必要な保守範囲 | 図面と調整に必要な表現に絞る |
タイプ情報 | 型式、外形寸法、接続サイズ | 同一型式で共通の値として扱うか |
個別情報 | 機器番号、設置場所、設計風量 | 配置ごとに異なる値として扱うか |
接続 | ダクトの入口・出口、必要な電気接続 | 使う系統と情報の流れを定める |
出力 | タグ、機器表、図面上の記号 | 必要なパラメータと表示方法を決める |
1. テンプレートとカテゴリを選ぶ
新規ファミリでは、配置方法に合うテンプレートを選びます。床や面を基準に置くのか、ホストを必要としない配置にするのかを先に決め、設備機器など用途に合うカテゴリを確認します。テンプレート名は導入しているコンテンツや言語で異なるため、名称だけで選ばず配置方法を試してください。
カテゴリは表示、タグ、集計の扱いに影響します。見た目を作りやすいという理由だけで汎用モデルにすると、設備機器として期待した集計や運用に合わないことがあります。
2. 基準面と寸法パラメータを作る
中心、端部、接続位置を示す参照面を用意し、幅・奥行・高さなどの寸法を定義します。形状を直接修正し続ける前に、寸法値を変えて基準が崩れないことを確認します。その後に必要な外形を作成し、基準面との拘束を整理します。
少なくとも大小2種類の寸法で試し、形状の反転、拘束の矛盾、接続位置のずれがないか確認してください。設計調整に不要なねじや内部形状を作り込むより、外形と接続口を正しく扱うことを優先します。
3. コネクタを配置し、用途に合う設定にする
ダクトや配管等のコネクタは、部材を系統につなぐための情報を持ちます。送風機の例では入口と出口の位置・向き・寸法を確認し、系統の分類、流れ方向、流量の扱いを用途に合わせて設定します。電気接続も利用する場合は、必要な条件を別途整理します。
見た目の開口部とコネクタ位置が違うと、接続時に意図しない配管・ダクトが生成される原因になります。寸法を変えた際も、コネクタが外形と一緒に正しく動くかを試してください。計算に利用する値は、単に入力欄を埋めるのではなく、値の出所と扱いを確認します。
4. タグと集計に使うパラメータを整える
ファミリ内で形状を制御する項目と、プロジェクト全体で共通に使う情報を分けます。独自の機器情報をタグや複数ファミリの集計で利用する場合は、共有パラメータの使用を検討してください。
共有パラメータは名前だけを合わせて別々に作らず、共通の定義ファイルで管理します。同じ名前でもGUIDが異なると、同一の項目として使えない場合があります。機器番号、能力、風量などについて、定義、データ型、単位、入力担当を整理してください。
5. プロジェクトで動作を確認する
テスト | 合格の目安 |
|---|---|
配置・向き | 必要な位置に配置し、回転や移動後も基準が分かる |
タイプ変更 | 寸法変更後も形状とコネクタ位置が整合する |
接続 | 意図した系統のダクト・配管等につながる |
タグ・集計 | 同じ値が必要な図面と表に表示される |
図面表現 | 平面・断面・縮尺別に必要な情報が読める |
交換 | 必要な形式で出力し、受け手で形状と属性を確認できる |
読み込みが成功しただけで配布せず、少数の要素をつないだテストモデルで確認します。更新したファミリを再読み込みする場合は、既存の入力値に与える影響も確認してください。
よくある不具合と確認箇所
接続できない:コネクタの分野、分類、向き、寸法と、接続先の条件を確認します。
機器表に値が出ない:対象カテゴリ、パラメータの種類、共有定義、値を入力した場所、集計のフィルタを確認します。
寸法変更で崩れる:形状と基準面の拘束、数式、許容する寸法範囲を確認します。問題が起きる型式をテストケースとして残してください。
完成後は版と担当者を管理する
ファミリ名、対象バージョン、改訂日、変更内容、確認者を記録し、承認したものを共通の保管先で管理します。設備BIMテンプレートの整備と合わせることで、案件ごとの作り直しを減らせます。関連する作業はRevit MEPの機能と配管勾配の確認手順も参照してください。
参考資料
制度・製品情報の確認日:2026年9月26日。実案件では申請先の案内と利用する製品バージョンの資料も確認してください。
監修者
長谷川一夫
機械設備設計部
パラダイム部長



