設備設計ナレッジ

排水通気方式の設計|結合通気管・伸頂通気管・ループ通気管の違いと接続位置

結合通気管・伸頂通気管・ループ通気管・各個通気管の役割を比較表で整理。結合通気の接続位置、ブランチ間隔、特殊継手排水システムと通気弁の違い、トラップ破封への対策を、国土交通省・自治体・メーカー資料に基づいて解説します。

排水通気方式の設計入門|伸頂・ループ・各個通気と結合通気・特殊継手の使い分け
plumbing
公開日
2026年5月12日
更新日
2026年9月11日

排水通気管とは|封水を守るための空気の通り道

排水通気管は、排水に伴う管内の圧力変動を緩和し、トラップの封水を保つための配管です。排水管と屋外の空気をつなぐ経路を確保し、封水が吸い出されたり、室内側へ押し出されたりするのを防ぎます。

結合通気管は「排水立て管と通気立て管を途中でつなぐ管」、伸頂通気管は「排水立て管を最上部から延長した通気部分」、ループ通気管は「同じ排水横枝管につながる複数器具をまとめて通気する管」です。つなぐ場所と保護する範囲を分けて読むと、配管図を理解しやすくなります。

通気管・通気方式の違いを比較

名称

接続・構成の基本

設計で確認する点

伸頂通気管・伸頂通気方式

排水立て管を最上部の排水接続より上へ延長し、通気経路にする

排水負荷、立て管・横枝管の条件、大気への開放位置

ループ通気管・ループ通気方式

同じ排水横枝管に接続する複数器具をまとめて通気する

上流側の取り出し位置、横枝管の長さ・器具数、逃し通気の要否

各個通気管・各個通気方式

各器具のトラップ下流側から個別に通気を取る

トラップから通気取り出しまでの距離、器具排水管の径・勾配

通気立て管

排水立て管に沿って設け、通気枝管などを受ける縦の管

下部の排水立て管への接続と、上部の大気への経路

結合通気管(ヨーク通気管)

排水立て管と通気立て管を中間部で接続する

ブランチ間隔、排水横枝管より下での分岐、通気立て管側の接続高さ

上表は役割の比較です。通気立て管や結合通気管は、各個通気・ループ通気などと組み合わせて使います。どれか一つを選べば全条件を満たすという関係ではありません。

結合通気管とは|接続位置と設置間隔

結合通気管は、排水立て管と通気立て管の間で空気を通し、立て管内の圧力変動を緩和する管です。ループ通気管が横枝管上の器具群を対象とするのに対し、結合通気管は立て管同士を接続します。

接続位置は「横枝管より下で取り出し、上へ立ち上げる」

広島市の排水設備資料では、排水立て管側の分岐を、その階の排水横枝管が接続する位置より下方に置き、Y管で分岐して立ち上げます。通気立て管側は、その階の床面から1m上方の点でY管接続する例が示されています。

確認箇所

位置関係

排水立て管側

その階の排水横枝管の接続点より下方から分岐

結合通気管の経路

分岐点から上へ立ち上げて通気立て管へ導く

通気立て管側

参照資料ではその階の床面から1m上方で接続

位置関係の原図は広島市「屋内排水設備」p.50・図2-36「結合通気のとり方」で確認できます。地域の基準例として参照し、実案件では管轄の基準・採用仕様と照合してください。

「10階ごと」とブランチ間隔の違い

同資料は、ブランチ間隔が10以上の排水立て管について、最上階からブランチ間隔10以内ごとの結合通気を示しています。ブランチ間隔は排水横枝管等の接続位置に基づく区間で、単純な階数と常に一致するわけではありません。中間階に接続がある場合などは、資料の定義と系統図で区間を数えます。

オフセットがある立て管は、曲がりの上下で圧力条件が変わります。通常の設置間隔とは別に、オフセット部の通気方法を検討します。

伸頂・ループ・各個通気の選び方

伸頂通気方式

排水立て管を通気にも利用するため、専用の通気立て管を設ける方式と比べて配管スペースを抑えやすい構成です。ただし、低層建物だから必ず成立するとは限りません。排水負荷、横枝管の長さ、立て管の曲がり、横主管の流れを確認します。排水で空気の通り道が塞がれる条件では、方式の見直しが必要です。

ループ通気方式

トイレの器具群など、同じ横枝管に接続する器具をまとめて通気する方式です。国土交通省の標準図では、ループ通気管を、最上流器具の器具排水管が横枝管へ合流した直後の下流側から立ち上げるとしています。横枝管の任意の位置から取り出してよいわけではありません。

接続位置の確認には公共建築設備工事標準図(機械設備工事編)令和7年版・図面番号165「排水・通気配管の正しいとり方」が参考になります。器具数や配管条件に応じ、下流側の逃し通気なども検討します。

各個通気方式

各器具のトラップ下流側から通気を取る方式です。器具ごとに通気経路を設けるため、取り出し位置を個別に確認できます。一方で配管本数が増え、天井内やPSの納まりを調整する必要があります。適切な管径・距離・勾配を伴ってはじめて封水保護の効果を得られます。

特殊継手排水システムと通気弁は何が違う?

特殊継手排水システム

特殊な形状の継手で排水の流れを制御し、立て管内の通気を確保するシステムです。旋回流を利用する方式などがあり、専用の通気立て管を省略できる製品・構成もあります。一般継手を一部置き換えるだけで同じ性能になるとは限らず、採用メーカーが定める許容排水流量、立て管・横主管・継手の組み合わせ、オフセットや最下階の接続条件を一式で確認します。

給排水の設計規準を調べる際は、空気調和・衛生工学会の規格一覧で規格名と版を確認してください。SHASE-S 206は「給排水衛生設備規準・同解説」、SHASE-S 218は「排水立て管システムの排水能力試験法」です。設計規準と性能試験法を区別して参照します。

通気弁(AAV)

通気弁は、管内が負圧になったときに空気を取り入れる部材です。森永エンジニアリングのドルゴ通気弁FAQでも、負圧緩和を目的とし、正圧時には弁が閉じると説明されています。立て管下部などの正圧対策を、通気弁だけで代替することはできません。

改修で採用する場合は、メーカーの設置範囲に加え、吸気できる空間、点検・交換の経路、管轄の取扱いを確認します。

封水切れの原因と対策を分ける

原因

起こること

確認する方向

自己サイフォン作用

その器具自身の排水で封水が引かれる

器具排水管の条件と通気取り出し位置

誘導サイフォン作用

別の器具の排水による負圧で封水が引かれる

横枝管・立て管の負荷と通気経路

はね出し作用

正圧で封水が室内側へ押される

立て管下部・曲がり・横主管と正圧を逃がす経路

蒸発

長期間使わない器具で封水が減る

定期的な補水などの維持管理。通気管の追加だけでは解決しない

封水の不具合は、器具やトラップの条件にも左右されます。器具の分類と負荷の考え方は衛生器具設備の設計ガイドもあわせて確認してください。

通気設計の進め方とチェックリスト

  1. 建物用途、器具の種類・数、同時使用、排水負荷を整理する。
  2. 立て管・横枝管・横主管の径、長さ、勾配、オフセットを系統図に記入する。
  3. 通気方式を選び、各個・ループ・結合通気の取り出しと接続高さを確認する。
  4. 通気管内の水が自然に排水側へ戻り、水だまりを作らない経路を計画する。
  5. 大気開放口と窓・外気取入口との位置関係、屋上の用途、積雪条件を確認する。
  6. PS内の配管、支持材、点検空間を意匠・構造・他設備と調整する。
  7. 採用する規準、自治体の基準、製品の施工要領を計算書・図面に明記する。

通気管径や開放口の高さ・離隔は、管種・系統・屋上利用条件で確認項目が変わります。用途名や階数だけで決めず、案件で適用する資料の表・図と照合します。給水・給湯を含めた全体の計画は給排水衛生設備の全体像と設計の流れにまとめています。

参考資料

資料確認日:2026年9月11日。比較表は各資料の考え方をもとに当サイトで整理したものです。自治体の例示を全国一律の施工条件として適用せず、計画地の取扱いと採用仕様を確認してください。

監修者

長

長谷川一夫

機械設備設計部

パラダイム部長

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