設備設計ナレッジ

非住宅の省エネ基準とBEI|2026年改正の用途・規模別基準と設備設計

非住宅の省エネ基準を、2026年4月の中規模建築物の基準引上げに対応して整理。用途・面積・省エネ適判の申請時期による判定、BEIの意味、複合用途や増改築の注意点、計算書と設備図面を照合する手順を解説します。

省エネ基準適合義務化と設備設計|BEI算出・ZEB水準と設計チェックリスト
regulation
公開日
2026年5月2日
更新日
2026年9月27日

非住宅の設備設計では、「BEIが1.0以下なら適合」と一律に判断できません。用途・規模・適用時期により基準が異なります。2026年4月1日以降に省エネ適判を申請する中規模非住宅では、従来より厳しい用途別の基準が適用されます。

最初に適用条件を確定し、次に空調・換気・照明・給湯・昇降機の仕様を計算へ反映する順番で進めましょう。本記事は2026年9月時点の非住宅の設計実務を対象にしています。

2026年の用途・規模別BEI基準

次の表は新築の非住宅について、2026年度の水準を整理したものです。複合用途、増改築、住宅を含む建物は、評価対象と適用条件を別途確認します。

用途

300㎡未満

300㎡以上2,000㎡未満

2,000㎡以上

工場等

1.00以下

0.75以下

0.75以下

事務所等・学校等・ホテル等・百貨店等

1.00以下

0.80以下

0.80以下

病院等・飲食店等・集会所等

1.00以下

0.85以下

0.85以下

中規模の新基準は2026年4月1日以降の省エネ適判申請に適用されます。同日前に申請した計画やその変更申請は旧基準の扱いを確認してください。表の基準は太陽光発電・コージェネレーションの自家消費分を含む評価です。国土交通省「中規模非住宅に係る省エネ基準の引上げ」

用途の分類は建物の通称だけで決めません。室用途、建物の使い方、評価範囲を確認します。複数用途がある場合の判定基準を、用途ごとの数値の単純平均や床面積だけの平均で作らないことも重要です。

BEIは何を表す数値か

BEIは、評価対象となる設計一次エネルギー消費量を基準一次エネルギー消費量と比較する指標です。事務機器等の「その他一次エネルギー消費量」を除く扱いや、創エネルギーの評価条件は、採用する計算方法に従います。電気料金や空調機のCOPをそのまま割った数値ではありません。国交省「一次エネルギー消費量の基準」

理解のための仮定例として、対象となる基準値が1,000GJ/年、設計値が780GJ/年なら、比は0.78です。適用基準が0.80なら数値上は範囲内、0.75なら追加の改善が必要です。実申請では公式プログラムの計算結果と判定を用い、丸め処理や対象外の項目も確認します。

最初に決める5つの条件

  1. 建築行為:新築・増築・改築の区分と対象部分を整理する。
  2. 用途:建物用途と室用途を、意匠図・使用計画に合わせる。
  3. 規模:非住宅部分の面積と評価対象を確認する。
  4. 時期:省エネ適判申請日と経過措置を確認する。
  5. 計算方法:標準入力法・モデル建物法等の適用条件と使用バージョンをそろえる。

2025年からの適合義務化の全体像は建築物省エネ法の制度解説で確認できます。義務化の対象判定と、今回の数値基準の判定は別の確認作業として記録してください。

設備設計から計算へ渡す情報

分野

照合する主な情報

見落としやすい変更

空調

熱源方式、能力、効率、搬送動力、制御

型番変更、ゾーン変更、外気量変更

換気

対象室、風量、電動機入力、制御

用途変更、ファンの静圧変更

照明

器具入力、台数、制御区分

器具の代替、調光条件の変更

給湯

熱源効率、配管・循環、使用条件

厨房用途や給湯方式の変更

昇降機

台数、方式、仕様

機種・制御の変更

入力値の根拠として、機器表・メーカー仕様書・計算書の版を記録します。見積段階の仮仕様を確定仕様と混在させず、未確定値が確定した時点で再計算します。

省エネ基準とZEBを混同しない

法令上の適合基準を満たすことと、ZEBの評価を取得することは別の目標です。ZEB Ready等では、再生可能エネルギーを含める場合と除く場合を区別して評価します。ZEBの区分を、すべての新築建物に義務付けられた基準として説明しないでください。環境省「ZEBの定義」

空調の改善を検討する場合は、機器の高効率化だけでなく、負荷・外気処理・搬送動力を合わせて見ます。具体的な手順は空調設計でBEIを改善する方法を参照してください。

申請前・機器変更時のチェック

  • 適用する用途・面積・基準値と、その根拠が記録されている。
  • 計算書の室名・系統名が、設計図書と対応している。
  • 機器の型番・能力・入力・効率を最新仕様で照合した。
  • 複合用途や増改築の扱いを判定機関に確認した。
  • 施工段階の代替機種や制御変更に対する再確認の担当を決めた。

関連法令と通知の更新は国交省の最新法令一覧で確認できます。設備設計の法規チェックリストと組み合わせ、計算書だけでなく設備図面まで整合させましょう。

適用条件や設備仕様の整理は、用途・面積表、申請予定日、機器表をそろえてご相談ください。省エネ対応を含む設備設計の相談

監修者

長

長谷川一夫

機械設備設計部

パラダイム部長

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