設備設計の法規チェックは、項目に丸を付けるだけでは不十分です。対象となる条件を確認し、どの図面・計算書で適合を示すか、未決事項を誰が解決するかまで記録します。
以下の表は、基本設計の整理と確認申請・消防同意前の照合に使う確認枠です。すべての建物に同じ数値を当てはめる一覧ではありません。用途・規模・設備方式・申請時期に応じて項目を追加してください。
チェックリストの使い方
- 建物用途、面積、階数、工事区分、申請時期を冒頭に記載する。
- 各項目の適用/対象外を判定し、対象外の場合も理由を記録する。
- 確認図書の番号と版、根拠条項、担当者を記載する。
- 「適合」「要修正」「協議中」「対象外」を区別する。
- 修正後に関連図書も照合し、確認日を残す。
法令の全体像から確認したい場合は建築設備の法規一覧を参照してください。以下の担当は役割の例で、実際の責任分担は契約と体制に合わせて決めます。
空調・換気・排煙の確認
項目 | 適用条件・確認内容 | 確認図書 | 担当例/判定 |
|---|---|---|---|
居室換気 | 用途、開口部、在室条件、必要有効換気量 | 室別計算書、平面図、機器表 | 空調/未確認 |
シックハウス | 居室区分、建材、換気回数、天井裏等の対策 | 換気計算、仕上表、系統図 | 空調・意匠/未確認 |
火気使用室 | 機器・燃料、フード、補給空気、排気経路 | 厨房機器表、給排気図 | 空調・厨房/未確認 |
排煙 | 建基法・消防法それぞれの設置対象と免除条件 | 区画図、判定表、排煙計算 | 意匠・設備/未確認 |
区画貫通 | 区画の種類、ダクト・配管、適用仕様と例外 | 区画図、貫通詳細 | 意匠・設備/未確認 |
換気回数を全室一律0.5回/hにするのではなく、規定ごとの対象を確認します。機械換気は必要風量とダクト抵抗に対して機器能力が成立するかまで照合します。換気設備の法的要件と、国交省の換気に関する説明を確認してください。
給排水・衛生の確認
項目 | 適用条件・確認内容 | 確認図書 | 担当例/判定 |
|---|---|---|---|
給水方式 | 事業者の条件、配水圧、使用水量、末端圧力 | 協議記録、水理計算、系統図 | 給排水/未確認 |
水源の分離 | 上水と井水・雑用水等の直接接続がないか | 全系統図、機器接続詳細 | 給排水/未確認 |
受水槽 | 管理区分、有効容量、点検・清掃・更新動線 | 容量計算、配置・断面図 | 給排水・意匠/未確認 |
排水先・水質 | 分流・合流、接続高さ、排水量、前処理 | 敷地排水図、器具表、協議記録 | 給排水/未確認 |
通気・清掃 | トラップ、通気方式、掃除口、保守空間 | 系統図、断面図 | 給排水/未確認 |
地域ごとの設計・申請条件を、全国共通の法定値と区別します。水道事業者と下水道管理者の回答を、設備図・配置図へ反映してください。前処理設備や槽を設ける場合は、維持管理を行える計画かも確認します。
電気・消防設備・非常電源の確認
項目 | 適用条件・確認内容 | 確認図書 | 担当例/判定 |
|---|---|---|---|
受電・保安 | 設備区分、受電方式、保護、保守体制 | 受電協議、単線結線図 | 電気/未確認 |
幹線・回路 | 電流、許容電流、電圧降下、遮断・保護協調 | 負荷表、幹線計算、盤図 | 電気/未確認 |
非常用照明・誘導灯 | それぞれの対象、配置、電源、仕様 | 配置図、計算、機器仕様 | 電気・意匠/未確認 |
消防設備 | 用途・面積・階数による設置判定と連動 | 判定表、系統図、連動表 | 消防設備・電気/未確認 |
非常電源 | 負荷別の方式、継続時間、切替、燃料・電池 | 負荷表、容量計算、制御図 | 電気・関連設備/未確認 |
非常電源の時間を「消防法は30〜60分」と一括りにしません。設備別の条件を非常電源の法的要件で整理し、発電機の始動・切替と継続供給を別々に照合します。
省エネ計算と図面の確認
用途・規模・申請時期から適用基準を決め、計算入力と機器表を照合します。2026年4月の中規模非住宅の基準引上げを含め、BEIを一律1.0とせず、該当条件で判定します。非住宅の省エネ基準とBEIと国交省の最新法令を確認してください。
- 計算対象の面積・用途・室名が最新の意匠図と一致している。
- 空調・換気・照明・給湯・昇降機の入力値に根拠資料がある。
- 効率や制御の条件が機器表・特記仕様に反映されている。
- 機種変更時の再計算・変更手続の担当が決まっている。
申請前の最終照合と変更管理
協議中の項目を未記入のまま「確認済み」にしないことが重要です。未決事項は、論点、確認先、必要資料、期限、担当を別表で管理します。図面を修正した場合は、機器表、計算書、制御、電源、配置への影響を追います。
例えば排煙ファンの変更なら、風量・静圧だけでなく電源容量、始動方式、非常電源負荷、制御、設置寸法も照合します。単独の図面だけで完結させず、変更箇所と影響先を記録してください。
このリストを出発点に、計画固有の確認項目を追加して使ってください。設計図書の整理やレビューについては、設備設計の相談窓口へお問い合わせいただけます。
監修者
長谷川一夫
機械設備設計部
パラダイム部長



