設備BIMの導入費用は、ソフトの価格だけでは決まりません。利用人数、必要な成果物、既存資産、社内の習熟度によって、教育や部品・テンプレート整備の工数が変わります。
根拠のない一律の相場を置くより、初年度の立ち上げ費、毎年の継続費、案件ごとの追加工数を分けて見積もると、導入規模を判断しやすくなります。この記事では、社内予算を作るための項目と計算方法を整理します。
導入費を5つに分ける
費用区分 | 含めるもの | 見積もりの確認点 |
|---|---|---|
ライセンス・サービス | 設計ソフト、閲覧・共有、必要な追加機能 | 人数、契約期間、更新、含まれる製品 |
端末・環境 | PC、周辺機器、保存・バックアップ環境 | 対象モデルでの動作、既存環境の利用可否 |
教育・試行 | 研修、操作学習、代表案件の試行 | 受講費だけでなく参加者の時間 |
標準整備 | テンプレート、部品、属性、確認手順 | 初回作成と改訂の分担 |
案件・運用 | 入力、調整、変換、確認、保守 | 毎案件発生する作業と社内担当時間 |
同じ製品でも契約条件で価格が変わることがあります。公開価格を参考にする場合は確認日、税、期間、人数を記録し、正式な条件はメーカー・販売店の見積もりで確認してください。
初年度と継続費を別々に計算する
初年度予算=初年度の契約費+端末等の準備費+外部支援費+立ち上げに使う社内工数+案件運用費と分けて考えます。社内工数は現金支出とは別に、他の業務に使えなくなる時間として把握します。
次年度以降=契約更新費+標準・部品の保守+継続教育+案件運用費です。初年度に部品を整えても、仕様やバージョンが変われば保守が必要です。初期費だけを補助制度で抑えられても、継続費がなくなるわけではありません。
社内工数を予算に含める仮例
以下は計算方法を示す架空の例であり、業界相場や効果の実績ではありません。2人が各40時間の学習を行い、標準整備に60時間使うなら、立ち上げ時間は2×40+60=140時間です。社内の計画単価を仮に5,000円/時間とすると、工数相当額は70万円になります。
この70万円はソフト価格でも外注費でもなく、社内の時間を予算上で評価した金額です。実際には自社の原価の考え方と予定時間に置き換え、現金支出と分けて管理してください。
人数と役割を分けて見積もる
全員が同じ機能を同時に使うかを確認します。モデル作成者、設計確認者、外部共有の担当者では必要な操作が異なります。閲覧・指摘だけの担当に何が必要かも確認し、ライセンス条件に沿って利用環境を計画してください。
一方、担当者を一人に限定しすぎると、不在時に出図や修正が止まることがあります。費用だけでなく、代替担当者の教育と確認体制も予算に含めます。
内製と外注は同じ成果物で比較する
比較する項目 | 内製で見る費用 | 外注で見る費用 |
|---|---|---|
作成 | 入力時間、標準・部品整備 | 委託範囲と成果物の見積もり |
変更 | 設計変更とモデル修正の時間 | 修正回数、追加費用、回答待ち |
確認 | 設計確認とデータ交換テスト | 受領確認と不足情報の照会 |
継続 | 担当者教育と標準の保守 | 継続委託、引継ぎ、再利用条件 |
外注しても、設計条件を決める時間や成果物の確認時間は残ります。安い見積もりに見えても、支給情報の整備や追加修正が含まれていなければ総費用は変わります。詳細は設備BIM外注の費用と見積もり条件を参照してください。
最初の見積もりを試行結果で更新する
- 代表案件の対象範囲と必要な成果物を決める。
- ライセンス・端末・教育等の見積もりを集める。
- 限定した範囲で作成・変更・確認・納品まで試す。
- 初回だけの作業と、毎案件発生する作業を分ける。
- 年間の対象案件数と担当人数に合わせて費用を計算する。
- 導入範囲を広げる条件と見直す時期を決める。
工数削減を見込む場合は、同じ成果物を従来方式で作った時間と比較します。案件規模や変更回数が違うものを単純に比べると、導入効果を過大評価しやすくなります。
予算承認に用意する資料
対象案件、必要な納品物、初年度・継続費、社内工数、残る課題、試行の完了条件をまとめます。導入後の評価はBIMで設備設計の工数は減るか、展開計画は小規模事務所のBIM導入ロードマップ、補助制度の確認はBIM関連補助制度の読み方も参考にしてください。
参考資料
制度・製品情報の確認日:2026年9月26日。実案件では申請先の案内と利用する製品バージョンの資料も確認してください。
監修者
長谷川一夫
機械設備設計部
パラダイム部長



