CAD・BIMナレッジ

設備BIMは義務化される?確認申請・発注条件・社内対応を整理

設備BIMの義務化を、確認申請制度、公共・民間案件の発注条件、契約上の提出物に分けて解説。2026年時点で設備設計事務所が確認する資料と、段階的な対応方針を整理します。

設備設計のBIMは義務化されるのか|公共・民間・確認申請の動向と事務所規模別の対応ロードマップ
adoption
公開日
2026年5月26日
更新日
2026年9月26日

「2026年から設備BIMが一律に義務になる」と判断するのは適切ではありません。BIM図面審査の開始、個別案件で指定されるBIM成果物、自社の業務改善は、それぞれ判断の根拠が異なります。

設備設計事務所が最初に確認すべきことは、担当案件で誰が何を求めているかです。本記事では、制度上の位置づけと契約上の要求を分け、受注前から着手後までの確認方法を整理します。

2026年の制度と将来の予定を分けて読む

国土交通省は2026年4月にBIM図面審査を開始しました。一方、BIMデータ審査は将来の制度として検討が進められています。開始済みの制度と、今後の構想・予定を同じ確定事項として扱わないことが重要です。

国土交通省の制度説明会Q&Aでは、BIM図面審査と将来のBIMデータ審査について任意利用の方針が示されています。制度の開始年だけから、すべての設備設計者に特定ソフトの利用や全設備のモデル化が必要になるとは読み取れません。最新の公表内容は建築BIM推進会議の資料で確認してください。

「必要になる理由」は3つに分ける

確認する区分

判断する資料

設備担当者が決めること

確認申請の方法

制度資料・申請先の案内

BIM図面審査を利用する範囲と提出物

案件の発注・契約条件

要求水準書・特記仕様書・契約書

納品形式、対象設備、情報項目、修正範囲

自社の業務改善

工数記録・品質課題・導入計画

対象案件、導入費、評価方法、展開時期

例えば制度の利用が任意でも、契約でBIMモデルの納品を引き受ければ、その成果物を準備する必要があります。逆に、取引先がBIMを使用しているだけで、自社の全図面を同じソフトで作る条件が成立するわけでもありません。口頭の「BIM対応」だけで見積もらず、必要な成果物を文書にします。

受注前に確認する7項目

  1. 利用目的:図面作成、干渉確認、数量、維持管理など、何に使うモデルか。
  2. 対象範囲:空調・衛生・電気のどの設備、どの階、どの工区までか。
  3. 提出形式:ネイティブデータ、IFC、PDFなど、形式とバージョンは何か。
  4. 必要な情報:形状に加え、機器番号、能力、系統、保守情報など何を入力するか。
  5. 調整の分担:意匠・構造モデルを誰が用意し、設備側はどこまで照合するか。
  6. 更新条件:提出回数、設計変更の扱い、追加費用の協議方法はどうするか。
  7. 検収方法:誰が、何を確認して、完了と判断するか。

未確定の要求は、担当者・確定予定日・仮定条件を記録します。特に「施工段階でも使えるモデル」という表現は、設計上の調整と施工の詳細検討を一括りにしやすいため、部材ごとの作成範囲まで確認してください。

設備設計事務所の対応を3段階にする

今の案件で要求されていない場合

全面移行を急ぐ前に、主要取引先へ今後の提出形式を確認します。社内ではモデルの閲覧、受領データの版管理、代表図書の試し出力から始めると、費用を見積もるための具体的な課題が集まります。

一部案件で要求されている場合

対象案件と担当者を限定し、小規模なモデル交換を試します。外部に作成を依頼する場合も、設計条件の決定と成果物の確認を誰が担うかを明確にします。ソフトがあることだけで受注条件を満たすと判断しないことが大切です。

継続して要求される場合

テンプレート、部品、受け渡し手順、確認表を整備し、担当者が交代しても納品できる体制を作ります。導入効果は、作成時間だけでなく、図面の修正漏れ、外部調整の往復回数、再利用できた標準の数でも評価します。

よくある質問

設備が2DでもBIM図面審査の案件に参加できますか?設備をどの方式で扱うかは、案件の申請方針と発注条件を確認してください。制度上の扱いと提出物の整理はBIM図面審査の提出物と設備図の扱いで解説しています。

将来に備えて今すぐ全員分のソフトが必要ですか?担当人数、同時作業、確認者の閲覧環境を分けて計画します。購入前に必要な成果物を少人数で作り、作業量と教育負担を確認する方法が考えられます。

次に進める準備

まずは受注予定の案件を並べ、BIM要求の有無、提出物、期限、対応者を記入します。その結果をもとに、確認申請に向けた準備と小規模事務所の導入計画を具体化してください。

参考資料

制度・製品情報の確認日:2026年9月26日。実案件では申請先の案内と利用する製品バージョンの資料も確認してください。

監修者

長

長谷川一夫

機械設備設計部

パラダイム部長