表面結露は、周囲の空気が触れる表面温度が、その空気の露点温度以下になると生じます。室内の設定温湿度だけでなく、配管・ダクトが実際に通る天井内やシャフトの温湿度で判定することが重要です。保温厚を一律に指定する前に、設計条件をそろえます。
表面結露と内部結露を区別する
区分 | 主な確認対象 | 対策の方向 |
|---|---|---|
表面結露 | 配管・ダクト・吹出口・壁などの表面と周囲空気 | 表面温度を露点より高く保ち、湿気の流入を抑える |
内部結露 | 断熱材や壁体の内部の温度・水蒸気の分布 | 断熱・防湿・気密の構成を検討する |
表面に水滴が見えない場合でも、継目から入り込んだ湿気が冷たい配管に達し、保温材の内部で結露することがあります。表面温度の計算と、防湿層の連続性の確認は別々に必要です。
露点温度を使った判定例
空気線図や露点計算で、温度と相対湿度から露点を求めます。次は一般的な近似式による丸め値です。精密な設計では採用する計算方法と条件をそろえてください。
周囲の状態 | 露点温度の概算 | 表面温度16℃の場合 |
|---|---|---|
室内26℃・相対湿度50% | 約14.8℃ | 露点を約1.2℃上回る |
天井内30℃・相対湿度70% | 約23.9℃ | 露点を下回り、結露が生じる条件 |
同じ16℃の表面でも、周囲条件で結論が変わります。最初の例も変動・施工誤差まで保証するものではありません。外気侵入、扉の開閉、運転開始前後、清掃時の湿気などで露点が上がる可能性を確認します。湿り空気の関係は空気線図の読み方で整理しています。
保温厚は温度・材質・形状から決める
保温厚の検討では、管内水温やダクト内空気温度、周囲温湿度、保温材の熱伝導率、外表面の熱伝達、配管径などを入力します。円筒状の配管と平面状のダクトでは熱の伝わり方が異なるため、同じ厚さを機械的に流用しません。
例えば「冷水管は25mmでよい」という条件のない指定では、天井内が高温多湿な場合の妥当性を判断できません。メーカーの保温厚選定表・計算書にある周囲条件と、計画建物の条件を比較します。冷温水の温度や流量を変更した場合は冷温水配管の設計と保温条件を一緒に見直します。
防湿層は、冷たい配管を覆う保温材の外側に湿気が入り込まないよう連続させます。継目、端部、弁、フランジ、温度計の取出し部、支持部が途切れやすい箇所です。断熱材を増やすだけで、破れた防湿層の問題が解消するとは限りません。
部位ごとの設計・施工確認
部位 | 確認する内容 |
|---|---|
冷水管・弁 | 弁やフランジを含む保温、防湿、脱着後の復旧方法 |
ダクト・吹出口 | 継目と器具接続部の断熱、冷気漏れ、周辺の湿気 |
支持部 | 保温の圧縮や金属部の熱橋を抑える支持方法 |
外壁・窓まわり | 熱橋、室内湿度、家具やカーテンによる空気の滞留 |
ドレン | 冷たい排水による結露、排水勾配、通水・清掃性 |
吹出口の水滴は保温不足だけが原因ではありません。供給空気の温度、気流、室内の湿気、天井裏からの空気漏れを分けて調べます。原因を確かめず設定温度だけを上げると、必要な除湿能力を失うことがあります。
湿度管理と運転条件を整える
換気で外気を導入するときは、その湿気を処理できる空調方式か確認します。空調停止中の外気流入、負圧による湿気の吸込み、過加湿なども露点を上げます。温度センサーだけでなく、必要な場所の湿度・露点を把握できる計画にすると原因を切り分けやすくなります。
内部結露は季節や壁体構成で挙動が変わります。配管の保温と建物外皮の防湿層を同じ仕様で考えず、建築設計者と温湿度条件・材料構成を共有してください。表面結露の簡単な比較だけでは、壁体内部の安全性は判定できません。
設計レビューと引渡し時の確認
- 室内・天井内・シャフトごとに、周囲温湿度の設定根拠を記録する。
- 最も冷たい運転条件で表面温度と露点を比較する。
- 保温・防湿・支持部の仕様を断面詳細で示す。
- 通水・試運転時に継目や弁まわりを点検し、復旧方法を管理者へ伝える。
空調設計の失敗を防ぐチェック項目も使い、計算上の厚さと施工できる納まりが一致しているか確認しましょう。
参考:ASHRAE Handbook「Psychrometrics」、国土交通省「建築設備設計基準」。露点温度は上記条件での概算値です。
監修者
長谷川一夫
機械設備設計部
パラダイム部長



