ダクトの圧力損失は、直管の摩擦だけでは決まりません。曲がり・分岐・ダンパー・フィルター・吹出口などの抵抗を、空気が通る経路に沿って加算します。圧力損失の合計と、機器カタログの「機外静圧」を比較するときは、計算範囲と圧力の定義をそろえることが重要です。
まず区間ごとの風量とサイズを決める
各室の必要風量を求め、分岐点ごとに区間を分けます。幹線の風量を全区間に当てはめず、枝へ分かれた分を差し引いて集計します。換気量の決定は必要換気量の計算方法を参照してください。
方法 | 決め方 | 併せて確認すること |
|---|---|---|
等圧法 | 単位長さ当たりの摩擦損失を目安に断面を選ぶ | 各経路の総抵抗、騒音、調整ダンパー |
等速法 | 区間の目標風速から断面積を求める | 寸法変更による抵抗、用途に応じた許容風速 |
どちらも初期の寸法決定方法です。枝系統まで自動的に風量が均等になるわけではありません。採用寸法を丸めた後に風速と圧損を再計算し、風量調整が可能な構成にします。
計算例① 風量から断面積・風速を求める
例として風量3,600m³/h、目標風速5m/sを仮定します。秒単位へ換算すると3,600÷3,600=1m³/sです。
断面積A=風量Q÷風速v=1÷5=0.20m²
500×400mmなら0.5×0.4=0.20m²で、平均風速は5m/sとなります。寸法は空気が流れる有効断面で確認します。内貼り材がある場合、外形寸法をそのまま用いると断面積を過大評価します。薄く扁平な形状は納まりや補強、製作性も併せて検討してください。
計算例② 直管と局所抵抗を足す
以下は計算手順を示す仮定例です。空気密度ρ=1.2kg/m³、ダルシー摩擦係数λ=0.02、直管長L=20mとします。λは実務では材質・粗さ・レイノルズ数などにより確認します。
長方形の水力直径Dh=2ab÷(a+b)=2×0.5×0.4÷0.9≒0.444m。これを用いた近似計算では、直管損失はλ×(L/Dh)×(ρv²/2)≒13.5Paです。水力直径と、同一風量・摩擦損失を基準にした相当円形直径は別の概念なので、線図の入力条件を取り違えないでください。
計算対象 | この例の条件 | 損失 |
|---|---|---|
直管 | 20m、500×400mm、5m/s | 約13.5Pa |
曲がり等 | 同じ基準風速で局所損失係数の合計ζ=2と仮定 | 2×1.2×5²÷2=30Pa |
フィルター | 対象風量で150Paと仮定 | 150Pa |
吹出口 | 対象風量で40Paと仮定 | 40Pa |
小計 | ここに示した要素のみ | 約233.5Pa |
実際の分岐・拡大縮小では、係数が基準とする断面の風速を使います。機器抵抗はメーカー資料から転記し、フィルターは初期抵抗か交換時の抵抗かを明記します。上表は入口・出口条件やすべての機器を網羅した選定結果ではありません。
最不利経路と必要静圧を確認する
複数の経路がある場合、各経路の総抵抗を比較し、必要圧力が最も大きい経路を求めます。最も長い経路が常に最不利とは限りません。短くても曲がりや機器の抵抗が大きい経路があります。
全圧は静圧と動圧の和です。断面が変わる箇所では動圧も変わるため、損失の小計をそのままファン静圧と同一視しません。ファン・空調機の選定資料に合わせ、入口・出口の条件と機内/機外の境界を明確にします。内蔵フィルターが機器側で評価済みなら、機外抵抗に重ねて計上しないことも必要です。
図面と機器表で確認する項目
- 設計風量で機器の運転点が成立し、騒音・消費電力も満足するか。
- コイル、消音器、防火ダンパー、ガラリ等の抵抗を計上したか。
- 吹出口の到達距離・騒音が使用条件に合うか。
- 保温厚、支持金物、点検口を含む天井内断面を確保したか。
- 施工時の変更を再計算し、完成時に風量調整できるか。
吹出口の検討は吹出口・吸込口の選定、設計レビューは空調設計の確認項目と併せて進めます。計算書には区間番号、風量、寸法、長さ、抵抗の出典を残すと変更の影響を追いやすくなります。
参考:ASHRAE Handbook「Duct Design」、ASHRAE Handbook「Fans」。本例の数値は計算説明用の仮定です。
監修者
長谷川一夫
機械設備設計部
パラダイム部長



