設備設計ナレッジ

分電盤の設計と回路構成|配電盤との違い・図面の見方・ブレーカー選定

分電盤・配電盤・制御盤の違いを整理し、電灯盤と動力盤、盤名称・回路番号の読み方を解説。負荷表から回路を分ける手順、主幹・分岐ブレーカーと保護協調、電圧降下、増設余裕、配置計画まで設計チェックリスト付きでまとめます。

分電盤の設計と回路構成|電灯盤・動力盤の回路分け・ブレーカー選定と設計チェックリスト
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公開日
2026年5月8日
更新日
2026年9月19日

分電盤とは?配電盤・制御盤との違い

分電盤は、幹線から受けた電力を照明・コンセントなどの複数の回路へ分け、各回路を開閉・保護する設備です。配電盤は建物や設備の電力を受けて送り出す役割、制御盤は機器の運転を制御する役割に重点があります。見た目の大きさだけで分類せず、系統の中で何を受け、何へ供給し、何を制御するかを確認します。

種類

主な役割

図面で確認すること

配電盤

受電・変電した電力の配分、系統の開閉・保護・計測

受電方式、変圧器、送り先、保護装置

分電盤

幹線から照明・コンセント等の分岐回路へ電力を分ける

主幹と分岐、回路数、負荷、電源方式

制御盤

ポンプや空調機等の運転・停止・監視を行う

動力回路、制御回路、インターロック、操作方法

配電盤は高圧設備だけを指す言葉ではなく、低圧配電盤もあります。また、複数の機能を一体化した盤もあります。用語の区分は日本配電制御システム工業会の「配電盤の種類と役割」を参照し、実案件では盤リスト・仕様書の名称と対応させます。

電灯盤・動力盤と電源方式を対応させる

電灯盤・動力盤は、供給する負荷の用途に着目した呼び方です。代表例として、電灯盤は単相3線式100/200Vで照明やコンセントへ、動力盤は三相3線式200Vで空調機やポンプ等へ供給します。ただし、名称だけで電圧や相数を決めつけず、単線結線図と機器仕様で確認してください。

単相3線式では100V負荷を二つの電圧線側に配分し、各線の電流と中性線の条件を確認します。三相負荷でも電圧・周波数・始動方式は機器によって異なります。空調機という用途だけで一律に三相と判断せず、メーカーの電源仕様を負荷表へ転記します。

電源側から負荷側へ追う方法は、単線結線図の読み方で確認できます。

分電盤の図面・盤名称・回路番号の読み方

同じ盤を、単線結線図・平面図・盤姿図・回路表で照合します。平面図は設置位置、単線結線図は電源系統、盤姿図は外形や機器配置、回路表は各回路の仕様を確認する資料です。一枚だけで設計判断を完結させないことがポイントです。

表示・項目

読み取る内容

注意点

盤名称

階・用途・系統・連番など、案件で定めた識別情報

L、Pなどの文字の意味は凡例で確認する

回路番号

盤内の分岐回路と負荷側の対応

同じ番号でも盤が違えば別回路

主幹/分岐

盤全体の受電側と個々の負荷側

分岐定格の単純合計だけで主幹を決めない

極数・AF・AT

遮断器の極数、フレーム、定格電流等

ATとAFを区別し、可調整形は設定値も確認する

負荷・電線・接地

用途、電流、ケーブルの種類・サイズ、接地条件

機器表・配線図・施工条件と整合させる

説明用に「2L-1」を2階の電灯盤1、「2L-1/7」をその盤の7番回路と定めた場合、平面図の表示から回路表の7番を探し、負荷・遮断器・電線仕様を確認します。この名称は本記事の仮定であり、全国共通の命名規則ではありません。

確認の流れ:平面図の盤名称・回路番号 → 回路表の負荷と仕様 → 単線結線図の電源・主幹 → 盤姿図の寸法・収納。

負荷表から回路を分ける手順

  1. 照明・コンセント・空調・厨房・情報機器等について、台数、入力容量、相数、電圧、定格電流、使用時間を整理する。
  2. 単相・三相、常用・非常用、テナントや管理区分を分ける。
  3. 停止時の影響、保守単位、同時使用の条件から回路を割り付ける。
  4. 単相3線式の各線の負荷配分や、動力機器の始動条件を確認する。
  5. 分岐回路から主幹・幹線へ戻り、上位設備の容量と整合させる。

コンセントの口数だけで負荷は決まりません。会議室の小型充電器と厨房の加熱機器では使用条件が異なります。固定の「何口で1回路」という数字に置き換える前に、想定機器、同時使用、専用回路の要否を確認します。

説明例として、同時に動作する単相100V・電気入力1.2kW・力率1の機器が2台あれば、合計電流は2,400÷100=24Aです。この条件をそのまま20A回路にまとめる計画は成立しません。回路分割や使用条件を見直したうえで、電線・遮断器を選定します。この例は説明用であり、機器の始動や連続使用条件まで評価した選定結果ではありません。

主幹側の需要率や容量検討は、受変電設備の容量計算とあわせて整理します。

ブレーカー選定は電流・遮断容量・保護協調を確認する

主幹と分岐に共通する確認事項

系統電圧、極数、負荷電流、電線保護、設置点の短絡電流に対する遮断能力を確認します。周囲温度や収納条件、端子に接続できる電線範囲も選定条件です。ATが同じでも、遮断能力や動作特性まで同じとは限りません。

電動機回路は始動電流・始動時間・過負荷保護装置との組合せを確認します。インバーター負荷も定格電流だけで決めず、メーカーの指定遮断器や漏れ電流への対応を照合してください。三菱電機のモータブレーカ選定に関するFAQでも、不要動作の可能性を踏まえた組合せの検討が案内されています。

漏電保護

漏電遮断器の要否、定格感度電流、動作時間は、電路の条件、機器、接地、法令や設計仕様に基づいて確認します。すべての回路へ同じ感度・時間を当てはめず、常時の漏れ電流や上位・下位の保護装置との関係も整理します。医療設備や非常用設備は、その用途に適用される要求事項を別途確認します。

選択遮断とカスケード保護を区別する

選択遮断は、事故回路に近い遮断器を動作させ、健全な回路への停電影響を抑える考え方です。カスケード保護は、上位遮断器の限流作用等を利用し、組合せとして短絡遮断性能を確保する考え方で、同じ意味ではありません。上位も動作しうるため、組合せが成立することと停電範囲が限定できることを分けて確認します。

メーカーの協調表・動作特性・適用できる短絡電流の範囲を確認し、必要な選択性を設計図書へ残します。定格電流の大小だけでは協調を判定できません。

配置・電圧降下・増設余裕を一緒に検討する

盤の位置は負荷への配線距離、操作・保守、扉の開閉、搬入更新、浸水等の設置環境を考慮して決めます。EPS内に置く場合も、他設備との干渉や点検時の動線を確認します。

電圧降下の許容値は、受電条件と電源から末端までの配線長等で扱いが変わります。一律に「合計4%」とせず、採用規程の条件と機器側の要求を照合します。幹線設計と電圧降下計算で条件を整理し、幹線計算ツールで概算を比較できます。

増設余裕は「予備スペース」「予備回路」「主幹・幹線の容量余裕」を分けて記録します。空きスペースがあっても電源容量が足りるとは限りません。必要な割合や保守寸法は、施主の運用計画、盤メーカー資料、適用基準から決めます。

設計レビュー用チェックリスト

  • 盤名称と回路番号が平面図・回路表・単線結線図で一致している。
  • 機器の相数・電圧・周波数・入力容量が負荷表に記載されている。
  • 回路分割が同時使用条件、保守単位、停止時の影響に合っている。
  • 単相負荷の配分と各線の電流を確認している。
  • 遮断器の定格・遮断能力・動作特性と電線保護を照合している。
  • 選択遮断とカスケード保護を区別し、メーカーの組合せ条件を確認している。
  • 非常用回路は対象設備ごとの電源・配線・切替条件を確認している。
  • 電圧降下の計算条件、配線距離、電線サイズが記録されている。
  • 盤前の操作・保守、搬入更新、将来の回路・容量余裕を確保している。

よくある質問

配電盤と分電盤は大きさで見分けられますか?

大きさだけでは判断できません。送り先や分岐の構成、盤リスト・単線結線図で役割を確認します。

主幹ブレーカーは分岐ブレーカーの合計で決めますか?

分岐定格の単純合計だけでは決めません。実負荷と同時使用、幹線の条件、上位設備の容量、保護協調を合わせて検討します。

盤の記号やL・Pの意味はどの図面でも同じですか?

案件の命名規則で異なります。凡例・盤リストで定義を確認し、他案件の略号をそのまま当てはめないようにします。

参考資料

資料確認日:2026年9月19日。数値例・盤名称の例は説明用です。実際の選定は採用基準と機器メーカーの仕様に照らして行います。

監修者

猪

猪狩理

設備設計士

パラダイム部長