コンセント計画では、口数、電力容量、回路数、設置位置を分けて検討します。口数を増やしても供給できる電力が増えるわけではなく、容量が足りても家具で隠れた位置では使えません。機器一覧と家具レイアウトを起点に設計します。
必要口数は機器と使い方から数える
全国のオフィスに共通する「一席何口」という数を前提にせず、PC、モニター、充電器、電話などの接続方法を確認します。USB給電やドッキングステーションを使う場合も、AC側の電源が何台分必要かを数えます。来客・清掃・将来変更の予備は用途を明記して別に確保します。
場所 | 口数を数える前の確認 |
|---|---|
執務席 | 端末構成、固定席/フリーアドレス、デスク内配線 |
会議室 | 参加者の充電、表示装置、会議端末、床から卓上への経路 |
共用部 | 複合機、自販機、案内表示、清掃機器 |
店舗・客室 | 家具や什器、利用者の届く位置、水まわりとの関係 |
完成後に延長コードが通路を横断しないよう、家具を置いた状態で操作できるかを確認します。図面には取付高さ、回路番号、用途、接地極等の仕様を表示します。
10席のオフィスで負荷を整理する例
説明のため、PC入力90W、モニター30Wを各席1台、10席に配置すると仮定します。実際は採用機器の仕様、最大入力、運用条件を確認してください。
機器 | 仮定する入力と台数 | 合計 |
|---|---|---|
PC | 90W×10台 | 900W |
モニター | 30W×10台 | 300W |
複合機 | 800W×1台 | 800W |
合計 | 上記すべての仮定入力を合算 | 2,000W |
PCとモニターだけで20台分の接続が必要ですが、デスク用タップを使う構成では壁・床側の口数は異なります。タップの口数と容量、配線の接続方法を確認します。使用率を見込む場合は根拠を残し、ピークや機器の起動特性も確認してください。
100Vで1,500W、力率1の負荷なら電流は15Aです。電子機器は入力電流やVAの仕様も確認します。Panasonicの一般的なOAタップの説明では合計1,500Wまでとされており、上記2,000Wを一つの該当タップへ集約する計画にはできません。製品ごとの表示定格を優先します。
回路分けは定格・保護・停止範囲で決める
分岐回路の遮断器、配線、コンセント、プラグ、タップの定格は同じ意味ではありません。例えば遮断器に20Aと表示されていても、接続した15A定格の器具へ20Aを流してよいわけではありません。最も制約のある部分を含めて、法令・適用規程・製品条件との整合を確認します。
複合機や厨房機器などはメーカーの専用回路指定、起動時電流、漏電保護、接地を確認します。サーバーや通信設備は清掃用電源と停止範囲を分けるなど、業務継続の観点も必要です。回路計画の詳細は分電盤の設計と回路構成、長い配線の確認は幹線設計と電圧降下計算を参照してください。
フロアコンセントとOAフロアの比較
方法 | 利点 | 確認する条件 |
|---|---|---|
壁コンセント | 点検しやすく、壁際の機器へ接続しやすい | 家具による隠蔽、島配置までの配線 |
フロアコンセント | 室中央へ電源を供給しやすい | 歩行、清掃水、蓋、プラグ突出、配置変更 |
OAフロア | 床下配線の経路変更に対応しやすい | 有効高さ、支持脚、荷重、端部、点検性 |
OAフロアは床下空間があるだけで配線を自由に変更できるわけではありません。配線の交差、許容曲げ半径、取り出し位置、強電・情報配線の分離条件を検討します。床の製品高さと実際にケーブルを通せる有効高さも区別します。
レイアウト変更と弱電設備を同時に考える
席数の増加に備える場合、予備口だけでなく、分電盤の回路余裕、幹線容量、床内配線スペースが対応するか確認します。会議室を分割するときは、電源とLAN・映像配線がそれぞれ独立して利用できる構成を検討します。
無線LANでもAPや通信機器への給電は必要です。弱電・情報通信設備の設計と機器台数・電源区分を合わせると、追加工事の範囲を把握しやすくなります。
設計・引渡し時のチェックリスト
- 機器一覧の口数・入力・電圧・接地条件とコンセント図が一致している。
- 回路番号と盤表が一致し、停止させる範囲を説明できる。
- 家具・扉・通路・清掃を考慮した位置と高さになっている。
- タップや機器を接続した使用状態でも定格を超えない。
- 竣工時に回路表示と必要な検査記録を引き継ぐ。
参考:Panasonic「OAタップは何Wまで使用可能か」。計算例の機器入力は仮定値です。実際の設計は採用機器と配線設備の条件で確認します。



