意匠BIMを受け取って設備設計を始める前に、座標、階、部屋、対象範囲、モデルの版を確認します。ファイルが開くことと、設備の配置や計算に必要な情報がそろっていることは別です。
不整合を設備側だけで直して進めると、次の更新で位置がずれたり、意匠側と異なる条件で設計したりする原因になります。受領時に確認結果と未確定事項を残し、作成者と修正方法を合意してください。
受け渡し前に条件を決める
作成ソフトと版、交換形式、対象棟・階、更新頻度、座標の基準を確認します。相手が渡すモデルの用途も重要です。意匠の図面作成用モデルが、そのまま設備の空間調整や計算に必要な情報を含むとは限りません。
参照に使うだけなのか、部屋や属性を設備側へ利用するのか、どこまで編集してよいのかを明確にします。必要な情報がない場合は、別の図面や表で補う方法も含めて合意します。
受領時の確認表
項目 | 確認する内容 | 不一致時の対応 |
|---|---|---|
ファイル・版 | 作成日、対象範囲、承認状況、参照元 | 提供者へ版と用途を照会 |
座標・単位 | 基準点、向き、単位、既知の位置 | 相互の設定を確認し修正元を合意 |
階・高さ | 階名、階高、床・天井の基準 | 表示名と実高さを分けて確認 |
部屋・空間 | 番号、名称、用途、境界、面積 | 設備の用途に必要な情報を照会 |
建築・構造 | 壁、梁、床、開口等の対象と確定度 | 不足・仮定・変更予定を記録 |
更新 | 変更箇所、旧版の扱い、再受領予定 | 差替え方法と確認担当を決定 |
チェックの所要時間はモデルの規模や不整合の量で変わります。短時間で全項目を確認できると決めつけず、重大な前提を先に確認し、詳細確認の対象と期限を計画します。
座標と階は既知の点で照合する
通り芯の交点や基準階など、双方で確認できる点を使い、位置・向き・高さを照合します。画面上で大体重なっているだけでは、微小な回転や高さの違いを見落とすことがあります。
ずれを見つけたら、元データ、出力設定、読み込み設定を分けて調べます。設備側でモデルを動かす前に、どのデータを正として扱うかを作成者と確認してください。やむを得ず変換する場合も、変換内容と次回更新時の手順を残します。
部屋情報は設備で使う目的に合わせて確認する
部屋名があるだけで、空調ゾーンや計算範囲が確定するわけではありません。部屋の分割、用途、天井高さ、境界の扱いを確認し、設備設計で使う区分との対応を決めます。
室名や面積が変わった場合に、機器選定や計算、図面へ影響することがあります。モデルから転記した情報でも、出所と版を記録し、変更を受けた際に見直す項目を決めてください。
不整合は照会票にまとめる
照会には、モデル版、対象箇所、期待する状態、実際の状態、設備設計への影響、回答期限を含めます。「モデルが合わない」ではなく、「3階の床高さが提供図面と異なり、配管高さを確定できない」のように具体的に伝えます。
回答待ちで作業を進める場合は、仮定した条件、影響する範囲、再確認の担当を記録します。未確定の状態を確定済みのモデルに混ぜないことが重要です。
変更版を受け取ったときの手順
- ファイル名、版、更新日、変更内容を受領記録へ追加する。
- 旧版を保存し、決めた方法で参照モデルを差し替える。
- 座標、階、対象範囲が変わっていないか確認する。
- 設備に影響する部屋、壁、梁、開口等の変更を確認する。
- 影響する機器配置、ルート、計算、図面を更新する。
- 指摘の解消と新しい課題を記録する。
変更点の一覧がない場合も、更新版を無条件で上書きして作業を続けず、重要な前提を確認します。差分確認の対象と、提供者に求める変更情報を次回の受け渡し条件へ反映してください。
受領完了とする状態
設備の着手に必要な前提がそろい、未確定事項の影響と担当が分かり、次の更新時に同じ方法で確認できる状態を目指します。すべての不備を設備側で補正することを前提にせず、情報の作成責任を分担します。
ソフト間連携はRebro・Revitの受け渡し、IFCの症状別確認は設備IFCの欠落・ずれの切り分け、モデルの要求範囲は設備BIMのLODと情報要求で詳しく説明しています。
参考資料
制度・製品情報の確認日:2026年9月26日。実案件では申請先の案内と利用する製品バージョンの資料も確認してください。
監修者
長谷川一夫
機械設備設計部
パラダイム部長



